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ローリングストックをしている話

【気がついたらローリングストックをしていたことを話しているだけの雑文】

 料理が苦手である。

 冒頭から宣言するようなことではないということはぎりぎり承知しているのだが、そうはいっても料理が苦手である。
 単純に面倒臭いし、手やキッチンが汚れるのは嫌だ。あと、食材も調味料も案外値が張る。私は一人暮らしなので、1食分に換算すると、買ったほうが却って安いということがままあるのだ。

 そして心配性である。

 洗剤にしろティッシュにしろ、消耗品の類は常にストックがないと不安である。いつも使っているあのシャンプー、切らしたらどうしよう。せっかくセール期間なのだから、1つ多めに買っておかなければーー云々。
 ふるさと納税も日用品に全振りしているので、いま我が家には、向こう数年困らないような量の柔軟剤がストックされている。引っ越しをして収納が増えたのは良かった。心置きなくストックが保存できる。

 さて、この2つの性質が合わさるとどうなるか。
 息をするように、ローリングストックが完成するのである。

 ローリングストック。防災の文脈でよく耳にする単語である。日持ちのする食品を買い置き、ときどき食べ、減ったらまた買い足していくという、あれである。こうすることで、常にある程度の食料を家に備蓄しておくことができるのだとか。

 そう。楽をするための買い置きが、そのまま備蓄になるのである。

 レトルトカレーにカップ麺、レトルトご飯、野菜ジュース、缶詰、等々。
 冷凍パスタもストックを切らさない。冷凍食品など電気が止まった途端に無力になるということは理解しているのだが、それを言うとお湯が必要なカップ麺も条件は一緒なので、一応備蓄にカウントしている。日常の料理の手間が省けることには間違いないので、私にとってはそれで良いのである。

 備蓄といえば、ペットボトルの水も重要だ。2Lの大きなボトルはもちろんのこと、500mLも常に数本をストックしている。例えば旅行先に、スーパーで安く買ったものを持参すれば節約になる。捨てて帰ることができるので荷物も減る。備蓄にもなるなら一石三鳥である。

 ローリングストックのこつは、「古いものから食べること」だという。問題ない。私は神経質でもあるので、長期保存のできる食品は、常に賞味期限順に並べてあるのである。
 セールで大量買いしたフリーズドライスープも、福袋でまとめ買いした茶葉も、すべてきちんと賞味期限を確認し、近いものから並べている。食べたいものから順番に、など関係ない。もはや執念である。ややドン引きに近い眼差しを向けられたことがあるのだが、単にそういう性格なのである。

 実はこのストックがはっきりと役立ったことがある。コロナの自宅療養時だ。

 前述の通り、私は一人暮らしである。そして、私の罹患当時は10日間の自宅療養が必須だった。もちろん食料品を買いに出ることはできなかったのだが、このとおり、自宅にまとまった量の備蓄があったので慌てずに済んだのである。せいぜい、ゼリー飲料を通販でまとめ買いした程度だ。今時、インターネット環境さえあればいくらでも買い物ができるというのはその通りなのだが、そうはいっても病人である。余計なことをしないで済むならそのほうが断然良かった。
 熱が下がってからは、カップスープを飲み、野菜ジュースを飲んだ。食欲が戻ってからは、冷凍パスタを食べ、レトルトカレーを食べた。思いのほかなんとかなるものだなと、我ながら感心したほどである。

 そんなわけで、当時も今も、我が家にはきちんと食品が備蓄されている。
 役立つ機会は来ない、のがいちばんなのだがーー「もしも」に備えるため、そして「いま」を楽に過ごすため、私は今日も、せっせとカップ麺を補充している。

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