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あと何日この絶望的な夜をやり過ごせば死ぬことを許されるのだろう。

徒然なるままに 一人暮らし
硯には向かわない。

雨戸を締め切った真っ暗な部屋。
咳をしても一人。

人生初の自炊は、焼き肉。
どうしても食べたくなったけど、
一人で焼き肉屋に入る勇気もないから、
そうだ、スーパー、行こう、って。
とにかく肉を買った。

レジに行く前に、それと目があった。
飲み会があるから飲んでいたアルコールは
一人になった瞬間疎遠になって、
何気に、ひとりで初めて買う、
小さなビール。

虚空と乾杯しながら、
ぐいと飲み干す。
うまい。
ようやく大人になれた気がした。

大人になったあとは、
何になればいいのだろう?
私たちは何歳になれば、
高齢者になれるのだろう?

エスカレーターは楽だけど
途中で降りるのは駄目だし怖い。

いつからだろう、
苦いビールがうまくなったのは。
いつからだろう、
苦しむほどに幸せになれると信じたのは。
いつからだろう。
苦しみはただ苦いだけだと気づいたのは。

大人になるともたれるのが早くなるから、
いくらこってりしたものを食べても飲んでもいつも満たされない。
満たされないから涙が出ないのだ。

私の代わりに、握りしめた缶が泣いていた。

いつか誰かと笑いながら言えるだろうか、
#あの夏に乾杯


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