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介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる 連載第42回 「管理会計②」

こんにちは。ラボ事務局の杉田です。
今週もラボ代表及川による「介護新聞」連載企画(第42回)をお届けしてまいります。
第42回のテーマは「管理会計②」です。

 前回の基礎知識に続き、今回は管理会計の具体的な指標を紹介します。初めて取り組む方にもわかりやすく、これらの指標がどのように経営判断に役立つのかを解説しています。
 経営に必要な分析力を養うことで、より良い意思決定を行い、事業の改善に寄与する知識を提供します。管理会計を学び、日々の経営に活かしていきましょう。

介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる
連載第42回「管理会計②」


 今回は、押さえておきたい指標をご紹介します。
売上高人件費率
売上高労働生産性
1人当たり平均人件費 です。

 は、その名の通り売上に関する人件費の割合です。計算式は人件費÷売上×100で表します。人件費に含まれる科目は前回の記事を参照にしてください。本来は売上の増減で変動する費用を加味して計算するのがよいと思いますが、介護事業運営における変動費の影響はさほど大きくありません。

 は、スタッフ1人が稼ぎ出す力を指します。計算式は売上高÷常勤換算スタッフ数で表します。そこまで詳細にしなくてもよいので、パートタイムスタッフは0.5人としてカウントしてください。

 は、②で出した常勤換算スタッフ1人当たりの人件費を指します。計算式は人件費÷常勤換算スタッフ数です。①の目安は概ね55%~60%前半でコントロールする必要があります。60%後半に行くと、経営がかなり苦しくなります

 ①が上がる要因は3つあります。
スタッフの増加
割増賃金の増加
売上の減少 です。
 スタッフが増加した場合、売上が伸びれば人件費率も維持することができます。割増賃金が増加している場合、売上が減少している場合は、業務見直しの点検が必要です。
 特に割増賃金が固定スタッフで急激に上昇しているような場合は、そのスタッフに過度な業務集中が考えられますので、その業務を他のスタッフで分散することでスタッフの成長にもつながります。

 割増賃金が固定スタッフで常態的になっている場合は危険ランプが点灯しています。残業代を自身の生活費に充てているようでは、業務見直しに非協力的となる恐れがあります。
 残業するスタッフが多いと、他のスタッフへの悪影響も出てきます。定時に帰りづらい空気が出始め、残業していることが忙しさをアピールしているように映ってしまい、他のスタッフが自分は頑張っていないと感じてしまうなど、業務モチベートの低下にもつながります。

 売上が減少して人件費率が上昇している場合も「業務改善」の指標としてください。一方で、人件費率が著しく下がっている場合も、1人当たりの業務負荷が強いことが考えられますので、人員補充の必要があります。

 割増賃金増加の目安は現状を基準に割り出し、過去データと比較してみてください。生産性向上は今後の1つのテーマになります。現在時点を計算式より把握して、自社の生産力を向上する指標としてください。生産力が向上しているというのは、計算式から読み解くと、人員に変化ないのに売上が伸びているのが、「成長」している証です。

 つまり、時間の有効活用ができたり、業務の処理能力や情報の伝達が改善されたりとレベルアップが図られています。労働生産性は変化していないが、売上が伸び、人件費も上がっているという状態は事業が「拡大」していると捉え、生産性の向上、「成長」を目指しましょう。

 今後、物価上昇が続きます。大企業では賃金引き上げが進んでいます。介護事業所の多くは中小企業です。大企業のように賃金引き上げはうまくいきませんので、業務改善をしながら生産性を高めていくことが求められます。
 介護事業は一般の事業と異なり、物価上昇分をサービスに上乗せして価格を改定することができません。賃金制度設計、キャリアパスの実効性等も踏まえて、平均賃金の向上をぜひ、経営計画に入れてください

 経営計画の数値計画の立て方としては、まず、スタッフの賃金向上から考えます人件費÷スタッフ数ですから、人件費を向上するように計画をまず立ててみてください。
 ①、②で使った式を分解しながら利益、売上を考えて、スタッフみんなで目標達成を目指せるのが理想です。そのためにも、経営計画と人事考課制度は重要なのです。

 ①、②、③を分析しながら、どこの業務を、部門を改善するのがよいか、ぜひ考えてみてください。これらの見直しで導入する機器やコンサルタント介入に対して、助成金補助金がありますので活用をおすすめします。

介護新聞12/8付「介護福祉事業所の人事労務戦略室―次世代リーダーを育てる!!」
http://wwu.phoenix-c.or.jp/~medim/kaigo/2023/202312kaigo/kaigo20231208.html

今週もご訪問いただきありがとうございました!
また次回、第43回の記事でお会いしましょう!

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