介護福祉事業所の人事労務戦略室　~次世代リーダーを育てる‼
連載第11回「『採用コストが高い』の解決」
　「求人をしよう」と考えて、ハローワークを使う事業所は多いと思いますが、なかなか思うように応募者が集まらないのではないでしょうか？ なぜなら、若い人を中心にハローワークをあまり利用しなくなっているからです。

　厚生労働省のデータ(2019年)によると、求職者が仕事に就いたルートは1位広告、2位縁故(紹介)、3位ハローワークとなっており、2010年頃からハローワークの利用率が急激に低下しています。(ハローワークでの入職割合は25.8%から18.8%に低下)

　これはスマートフォンの普及により、「ハローワークに行って仕事を探す」という文化が廃れ、「スマホで検索して仕事を探す」という行動が定着したことを示しています。ハローワークで人材を集められなかった事業所は、人材紹介会社や求人広告を利用しますが、高額な利用料に頭を悩ませているのではないでしょうか。

　地域や媒体、広告スペースによって値段は変わりますが、ざっくりとした相場感としては、人材紹介会社の場合年収の30％、転職サイトへの掲載は1職種4週間掲載25万円～80万円程度などです。なかには、年収の40%という高額な報酬体系の紹介会社もあります。

　福祉業界の原資は公金ということもあり、人材紹介会社等に流れてしまっていることが、社会問題として国会で取り上げられたこともあります。ちなみに、人材紹介会社や求人広告は、「人手不足」と「スマートフォンの普及によるハローワークの衰退」を背景に、過去最高益を出し続けています。

　「どんな媒体を使うとコスパ良く応募が集められるのか？」というと、Google等の検索エンジンで上位に掲載されるほど閲覧数を増やすことです。 求職者がスマホで求人検索をした時、一番上に表示されるようなコンテンツから求人を見ていくからです。

　今、注目を集めているのが「オウンドメディアリクルーティング」という手法です。 オウンドメディアリクルーティングというのは、自社採用サイトを作って、それをプロモーションする手法です。「うちのホームページにも採用ページあるよ」といった声も聞かれそうですが、自社サイトに採用ページがあるだけでは、求職者に見つけてもらうことはできません。求職者を自社の採用ページまで連れてくる必要があります。

　その際にポイントとなるのが、求職者がスマホで求人検索をした時、一番上に表示されるような「indeed」等求人検索エンジンの活用です。自社採用サイトを作って、求人検索エンジンに掲載させるのがコスパ良く集められる方法といえます。しかし、自社採用サイトを作っただけでは求人検索エンジンに掲載することはできません。各検索エンジンの掲載基準をクリアする必要があります。

　たくさんの人に求人を見てもらっても、最終的に応募をしてもらわないことには意味がありません。そして、応募をしてもらうためには、魅力的な求人原稿が必須です。だからこそ、魅力的な求人原稿を作りやすい「自社採用サイト」が必要となります。

　自社採用サイトと求人検索エンジンを自動連携できるシステムもあるので、こういったシステムを使えば、Web上の求人検索エンジンに簡単に掲載できるだけでなく、魅力的な求人原稿も自由に作れるので求職者が集まりやすいです。

　いずれにしても、採用するためにはWeb上での存在感を示し、 PRすることが大切です。せっかく事業所で良い取り組みをしていても、口コミが広がっておらず、職員が知り合いの専門職を紹介してくれなければ、求職者を求めていること自体が伝わっていないと思った方が良いでしょう。