「英語ができなくても海外移住できますか?」正直、厳しいです。ただ良い方法があります。
英語ができなくても、海外移住したいという声
私は学校ですこし英語を勉強していただけですが、英語の成績がいつもよくなかったんです。英語ができないですが、海外移住したいと思っています。日本の現状に不安があるのと、広い世界を見たいと思っているからです。英語ができない私でも、海外移住できますか?
この手の質問は、海外移住コミュニティによく質問される。
私からすれば、この質問にはいくつかの要素があって、それがどれも良い方向には動いていないように見える。
結論から言うと、語学力がない、あるいは低い状態での海外移住は、自分あるいは誰かに負担を書けることになるし、そのツケはちゃんと回ってくる。もちろん、「英語ができないあなたは、海外移住できません」とは言えない。語学力をカバーする方法はいくらでもあるし、Google翻訳とChatGPTがあるこの時代に、語学力は必須ではない。ただ、語学力がないと苦労することは大いにあるし、語学力があっても苦労する海外生活の苦労をひとつでも減らすためには、やはり語学を頑張るしかない。それ以上の近道はないし、語学学習に近道はない。
そもそも、「英語」と「外国語」は同じものではない
日本では、義務教育で配られる国語の教科書に書いてある言語は日本語だ。日本の国語は日本語だ。
ただ、国語と公用語が一致しないケースも多い。
たとえば、アイルランドでは、アイルランド語という言語があるが、実際に日常生活で使われているのは、すぐそばにイギリスがあるため、英語が使われていることのほうが多い。アイルランドの国語は伝統的なものかつ民族に深く根付いているアイルランド語なのか、それとも日常生活で使う英語なのか、簡単に答えは出せない。
なお、上記の事情から、アイルランドに英語を学びに行くこともできる。ただ、アイルランドには英語以外にもアイルランド語という言語があり、それは英語とはかなり異なる。アイルランド語だけを話すひとと、英語だけを話すひとでは、意思疎通ができないといわれている。ただし、アイルランド語を母語として話し、かつ英語が話せないひとというのは、ほとんどいない。
そして、英語と外国語は同じものではない。「外国語」には、中国語、スペイン語、ロシア語、カタルーニャ語、バスク語、アイルランド語などのいろいろな言語を含む。
英語ができないひとは、外国語ができないとは限らない
実際、大学でロシア語を勉強すると、「英語とは違う」と思うところが多いらしい。
私は独学でウクライナ語を勉強しているが、実際キリル文字の時点でかなり戸惑ってしまう。ただ、キリル文字は意外と素直な文字で、スラブ系の言語を記述するのに適している表記体系なので、英語のようにautoを「アウト」ではなく「オート」と読む、などという気味の悪いことはあまりない。
ポーランド語をやると、綴りと発音には規則性があるものの、その発音体系は英語やローマ字読みとはかなり異なっているため、かなり諸学者を混乱させる要因になる。ポーランド語とウクライナ語をやると、キリル文字がいかにスラブ系の言語に適しているかがわかる。
英語の綴りと発音が一致しないことは英語を難しくさせる要因だが、それは大母音推移などの現象のせいだ。この記事では大母音推移に紙幅を食わせたくないのでこのへんにしておく。
私は少なくとも発音においては、素直なキリル文字を素直に使うウクライナ語のほうが、大母音推移の影響を受けて複雑怪奇な発音体系をしている絵羽後より簡単だと思う。
古英語(Old English/OE)の時代には、素直な発音体系かつローマ字読みだったのに、大母音推移さえ起きなければ…。そう思ったことがあるが、古英語のアルファベットは案外難解だし、英語ネイティブでも前提知識なしには古英語はおろか初期近代英語(Early Modern English/EModE)すら読めないらしい。日本人にとっても、古英語は「まったく読めない」、中英語(Middle English/ME)は「頑張れば読めるところもある」、近代英語は「まあまあ読めるけど読みづらい」といった感想だろう。
英語はかなり難しい側面があって、そのせいで英語ができないというひとは多い。
英語ができないけれど、海外生活を送りたいあなたに
英語ができないけれど、海外生活を送りたい、というひとに私から言えるのは、英語は難しいし、英語以外の言語だっていくらでもあるということだ。英語を話さない国に行ってしまえば、英語で煩わしい思いをすることもなくなる。案外簡単だと言われているのはインドネシア語、イタリア語、スペイン語、中国語、韓国語あたりだろう。もちろんこれらの言語も難しい側面がある。インドネシア語が難しいといわれている理由は忘れたが、イタリア語やスペイン語は文法が大変だ。中国語と韓国語は発音が大変だ。
それでも、語学が苦手というひとはあまりいないのではないかと思う。語学のある側面が苦手なだけなのだ。私がイタリア語を学んでみた結果として言えるのは、イタリア語は英語よりもかなり文法が厳しい規則で縛られている一方、イタリア語の発音はほぼローマ字読みで、かなり簡単だ。実際、大学のイタリア語専攻においても、発音は最初20分くらい話すだけで、どんな単語でもたいてい読めるようになるといわれるほどだ。
私は発音が下手で、日本語ですら苦労する。錠剤が飲めないこと、咀嚼力が弱くて嚙み切れないものが案外あることと関係しているのかもしれないが、口の筋肉が弱いらしい。そんな私に中国語の発音は複雑怪奇だし、発音できないものを聞き取ることなどできない。声が大きいからそこはくろうしないだろうが 、カタカナ発音で通じない国No.1は中国ではないかと思っている。
海外生活を送る国は、英語圏とは限らない。だったら、自分に合う言語を見つけて、それを学んで、その言語を持って海外に行こう。言語がわかるというだけでも、しんどいことだって当然ある海外生活をすこしでも楽にできるはずだ。
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