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著…野崎洋光『「分とく山」野崎洋光の料理学』

 出汁を使う=美味しくなる、わけではない。
 大事なのはうまみをどこから得るか。
 という本。

 食材と水を活かした、雑味の無いすっきりとした料理を提案しています。

 濁りのない洗練された味を追い求めたい人におすすめ。

 写真もレシピも載っています。

 特に、「味の道」という考え方が興味深いです。

 たとえば、きゅうりをサラダに使う時にいきなりドレッシングをかけると水っぽくなるけれど、先にきゅうりに塩をしておけば、ドレッシングと味が馴染みます。

 この場合、塩がきゅうりに「味の道」を作るのです。

 白菜は乾かしたり天日に干すことで「味の道」が出来るそう。

 一見些細なことのように思えますが、「味の道」を意識するかどうかで味わいがとても変化しそうですね。

 きっとそうした細かい積み重ねが美味しい料理を作り出すのでしょう。

 また、

「肉に味つけをするときに、脂肪がとけないと味がしみないことをご存じですか。火にかける前に肉の脂肪がとける40℃の煮汁にしばらくつけ込んでみてください。脂身に味がしみて美味しく仕上がります。これ、圧力鍋に最適な煮方です」
(P44から引用)

 と書いてあったので、わたしも早速試してみようと思います。

 一粒ずつ口の中でほぐれるような美味しいご飯を炊飯器で炊く方法(水加減は少なめに。保温に入る5分前にスイッチを切ることで米の風味を保つ。スイッチを切ったら、しゃもじで手早くほぐして空気を入れて余計な水分を蒸発させ、ぬれぶきんをかけて表面が乾きすぎるのを防ぐ)、

 土鍋で美味しいご飯を炊く方法(はじめチョロチョロ、中パッパは昔のかまどの羽釜の場合。今の土鍋は最初から強火で一気に水分を飛ばして7分、そのあとは弱火で7分、ごく弱火で5分、ゆっくり火を入れる)、

 も載っているのでこれらも実践したいです。

 また、酒が生臭さを消すのではなく酒が蒸発することで水っぽくならずに煮ることが出来るという知識や、ただ味が濃いだけの煮魚ではなくまわりの煮汁がソースのようにからんで中の身はふっくらした煮魚を作る方法、煮崩れせずにかぼちゃを煮る方法、塩を入れずに少量ずつ茹でることで色良くしゃっきりした青菜に仕上げる方法、など参考になることばかり。

 教科書としてキッチンに置いておきたい本です。

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