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著…舘林愛『生きているかぎり語りつづける』

 長崎で被爆した谷口稜曄さんとその奥様の物語を描いた絵本。

 優しい語り口やイラストのおかげで話がスッと頭に入って来る分、戦争や核兵器の残酷さもまた、心の奥深くまでグサッと刺さります。

 原爆が投下された直後の街の様子。

 想像を絶する治療の辛さ。

 一生背負っていかねばならない大きく深い傷痕。

 正体不明の後遺症。

 日常生活への支障。

 差別と偏見…。

 中には目を背けたくなる描写もありますが、芯の強い奥様の存在にも救われて、読み手はこの本を読み進めることが出来ます。

 奥様の、

 「私はね、裸になってみんなに見せてこいって、そう言ったんです!」

 「世界中の人に!」

(『生きているかぎり語りつづける』Kindle版P71〜72から引用)


 という言葉にもわたしは心打たれました。

 「歴史の一部」になってしまうとどこか他人事のようになってしまうけれど、生きている人間のリアルな声と裸は、雄弁に訴えかけますよね…。

 これが戦争だ。

 これが核兵器だ。

 …と。

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