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著…斎藤学『男の勘ちがい』

 戦争や親子関係などにおける心理についての考察が書かれた本。

 わたしは特に、著者自身のことが書かれた部分に注目しました。

 著者の父が先の大戦で画工として徴用された際、そこの軍人たちが「あなたまで死ぬことはない」と逃がしてくれたおかげで著者の父は生きて帰って来られたのだそう。

 「この話を繰り返し聞かされた私は、世の中の人には二種類あると信じるようになった。事に臨んで死を賭す人と、逃げてしまえる人。兵士つまり実務の人と画工つまり役立たず」

(著…斎藤学『男の勘ちがい』単行本版P15から引用)

 と著者は語ります。

 そして画工ではなく「芸術家」であることにこだわる父を軽蔑し、また、「事に臨んでも逃げられる人」としての面は見習おうとした、と。

 医者に、しかも精神科医になれば、色々なことから逃げられそうだと思った、と。

 しかし、逃げられる人なんているわけないと今の私も気づいている、と…。

 …著者の言う「逃げられる」とは、一体何から逃げられるという意味なのでしょうか?

 死?

 恐怖?

 運命?

 罪悪感?

 或いは、これらとは全く違うもの…?

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