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著…三浦しをん『お友だちからお願いします』

 恋の始まりを予感させるタイトルと表紙ではあるけれど、恋愛っけはぜーんぜん! 無いエッセイ。

 運転が苦手な自分の運転免許を「殺しのライセンス」と称するなど、三浦さんの独特のセンスが光ります。

 こ、殺さないで…!

 安全運転をお願いします。

 中でも、お祖母さまとのエピソードが楽しいです。

 お祖母さまが御自分のおっぱいを「おしなびさん」と呼んでいる、というくだりではわたしも思わず声を出して笑いました。

 凄まじいネーミングセンス!

 別の作家さんの作品ですが、思わず『変態仮面』を思い出しましたよ!

 祖母のおしなびさんをうやうやしく持ちあげ、腹のあたりを洗ってあげるのは、私の重要な役目である。

 (著…三浦しをん『お友だちからお願いします』 単行本版P41から引用)

 
 という一文からは、その大幅な垂れっ垂れ具合と、二人のあたたかい関係性が伝わってきます。

 お祖母さまは亡くなってしまったそうですが、その死に際して三浦さんが、

 生きて死ぬ。生き物はそれだけで充分なのであり、「なにかをしなければならない」といった考えからは完全に自由な存在なのであり、だからこそひとつひとつの生命が尊いのではないか。

(著…三浦しをん『お友だちからお願いします』 単行本版P79から引用)


 と書いていらっしゃるのが非常に格好いい!



 〈こういう方におすすめ〉
 言葉のセンスが光るエッセイを読みたい方。
 おばあちゃんっ子だった方。

 〈読書所要時間の目安〉
 2時間くらい。

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