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著…中村うさぎ『うさぎの行きあたりばったり人生』

 うさぎさんがこれまでの人生の紆余曲折を振り返りながら、今まで買って買って買いまくったブランド品の数々について紹介するエッセイ。

 印税を前借りしたり、住民税を滞納したり、ブランド品を質に入れたりしてまで買ったブランド品たちが、ちっとも大事に扱われていないのがポイント。

「あ、そこ、足元に気をつけてね。エルメス、踏んじゃうわよっ!」
(文庫版P20から引用)

 という文や、

「雨でグショ濡れになったまま丸めて放置してたら、カチンカチンに固まって、まるで煎餅のよーになってしまったエルメスのコート」
(文庫版P115から引用)

 という文が衝撃的!

 自分の稼ぎで買った物をどう扱おうと、うさぎさんの勝手なのですが、雑に扱われているブランド品がまるでうさぎさん自身の心であるかのようにわたしには思えてしまいます…。

 自分で自分を粗末に扱っているかのような痛々しさ。

 うさぎさんは借金を繰り返してブランド品を買い狂ってもなお心が満たされることは無く、また新たなブランド品や、ホストクラブ通いにも目が眩んでしまいます。

 その様子を他人事として笑える人はそう居ないのではないでしょうか?

 買っても買っても満たされない。

 自分で自分を痛めつけてしまう。

 そういう気持ちって、誰もが多かれ少なかれ経験しているのではないでしょうか?

 わたしも共感しながらこの本を読みました。

 心に穴が空いていて、それを埋めようとして色んなものを手に入れようとするけれど、全然穴が塞がりません。

 この本を読んでいたら、わたしもうさぎさんと一緒に「どうして?」と立ち尽くしている気分になりました。

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