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製作・著作…日本テレビ『桂歌丸 大喜利人生 笑点メンバーが語る不屈の芸人魂』

 子どもの頃から『笑点』を観続けてきたわたしにとっては、嬉しいような寂しいような、複雑な気持ちになる本です。

 『笑点』メンバーたち、奥様、スタッフの語る歌丸師匠のエピソードや、ご本人への生前のインタビューが読めるのは嬉しいです。

 でも、「本当に歌丸師匠は亡くなったんだな…」と改めて気づかされるようで、寂しいです。

 たまに『笑点』の再放送を観ると、歌丸師匠は回答者だった頃も、司会者だった頃も、ニヤリとしながら面白いことをおっしゃっているのに。

 映像や音声は半永久的に残るので、これからも歌丸師匠はテレビの前の人を笑わせることは出来るけれど、もう歌丸師匠ご自身が目の前のお客さんたちを笑わせることは無いんですよね…。

 人間の死亡率は100%なので、仕方がないことですし、いずれ誰もが必ずゆく道ですが…。

 特に晩年の生き様は壮絶なものがありました。

 「生きる」というより「生き切る」という表現しか思い浮かばないほどに。

「亡くなる前までいきいきしてた。今考えてみりゃ、すごいことですよね。酸素吸入器つけてても、しゃべっているときは絶対ついていると思っていないんですね。で、緞帳下りたとたん、もとに戻る。くたびれてんですよ。ほんと、大丈夫ですかって感じ。もう、執念というしかないじゃないですか。噺家としての業みたいなもの」
(P68から引用)

 と好楽師匠がおっしゃっている通り。

 そういう「執念」や「業」は、きっと落語家に限らず、何かの「道」を極めている誰もが宿しているのでしょうね。

 仕事への「熱意」や「情熱」といった表現よりも、まさに「執念」や「業」。

 生前の歌丸師匠ご本人に対するインタビューの、

「みんな、先人が残してくれたもの。それを私たちがまた、自分なりに守っていく。で、あとに続く者に自分なりのものを残していかなきゃなんないと思うんですよね」
(P204から引用)
「(中略)よく楽したいから苦しい思いすんだって、あたし言いますけどね。じゃあ楽すんのはいつだってえと、目つぶったときですよね。それまで、これといって、終点がないのが、あたしたちじゃないかな」
(P207から引用)

 という言葉を読んだら、月並みな感想ですが、わたしは素直に感動しました。

 やはり、道を極めた方の言葉はずっしりしています。

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