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著…貴志祐介『硝子のハンマー』

 会社の中で密室殺人が起きたので真犯人を突き止めよう…というミステリー小説なのです…が…、わたしはメインテーマと直接関係のないところにとても共感しながらこの本を読みました。

 たとえば、

 上司の巻き添えを食らって自分たちまで休日出勤させられている社員たちが、そんな上司にコーヒーを淹れたり、上司が昼寝をするので毛布をかけてやらなければならず、

 「あの人たち、会社に眠りに来てるんですかね?」
 「休みの日にそれに付き合わされてる、わたしたちって、いったい何なんでしょうね?」
 「うちが何の会社か、忘れた?」
 「え?」
 「介護ヘルパーよ」
(単行本版P32から引用)

 という会話をするのが何とも皮肉。

 休日は休日!
 ちゃんと社員を休ませろ!
 コーヒーくらい自分で淹れろ!
 会社に昼寝しに来るな!
 社員は奴隷じゃないぞ!
 こき使うならもっと給料をよこせ!
 …と、この本を読んでいて、わたしはこの小説に登場する社員たちに心の底から共感しました。

 わたしも理不尽な休日出勤を度々させられている身なので、この社員たちに激しく同情し、真犯人の推理はそっちのけで、労働基準法について調べまくってしまいました。

 また、

「どれほど会社に尽くしたところで、会社はあんたらのことなど何とも思っていないよと、言ってやりたい」
(単行本版P11から引用)

 と、この会社がテナントとして入っているビルの警備員が考えるシーンがあり、それもわたしの心にグサッと刺さりました。

 おっしゃる通り…。

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