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編…笠原順路『対訳 バイロン詩集 イギリス詩人選(8)』

 わたしは特に『貴公子ハロルドの巡礼』の、


「欺かれても、なお血を流し、息も絶え絶えに、最後まで勇ましく、堂々と中央に、追いつめられた雄牛が立つ。体軀には傷、剣や折れた槍が刺さる。周囲には敵、凄絶な死闘に倒れた者たち。(中略)牛、今ひとたび満身の力を奮い、地響きを立て突進する」
(P23から引用)

 という一節が好きです。

 これはスペインの闘牛についての詩。

 牛はマタドールによって殺される運命にあります。

 おぞましい光景ですし、闘牛そのものは残酷だと思います。

 しかし、わたしはこの牛の、最期まで全身全霊で闘い抜く精神に感銘を受けました。

 どんな生き物だって、こんな孤立無援で絶体絶命の状況なら、怯えて逃げ惑ったり、恐怖で固まってもおかしくありません。

 しかしこの牛は違います。

 やられっぱなしで大人しく死んでたまるか! せめて一矢報いてやる! という凄まじい生のエネルギーを感じます。

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