穂先

記憶の整理/祈りの練習

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最近の記事

12月13日 ◆ 先輩がいなくなる

新卒1年目の時から、今まで同じチームで一緒に仕事をしてきたOJTの先輩が来年1月で退職することになった。 昼前に出社してきて、すぐに「行こか」と声を掛けられて連れ立った喫煙室で、先輩の口から直接聞いた。 最近の人事発表にまつわる行動の節々に前兆はあったから、衝撃は思ったより大きくなかった。でも、会社から帰宅してからも頭の中に何かがぼんやりと漂っていて、何かを書かなくてはと思い、キーボードを打つ。 でも、うまく言葉に纏まらないのだった。 「もう4年も一緒に働かせてもらったの

    • 10月12日 ◆ いつ死んでもいいと思いながら、今日を生きること

      「ああ~もうどうでもいい、早く死んじゃいたいな」 ふとこんなことを考えていることに気づいたとき、私は自分の心の不調を認識する。 以前はこんなことを考えていると、夜寝る前にベットで横になりながら窓から飛び降りる様子を想像したり、自分の至らなさを責めることで精神的な自傷行為をしたりと、そのまま不調の下り坂を転がり落ちていた。 しかし、毎日感情を記録する日記を付け始めて1年半が過ぎると、この心の不調が1か月に数日の頻度で定期的に訪れることがわかり、最近は「また心が不調ですわ」と認

      • 9月6日 ◆ 私にとって占いとは何か

        占いが好きだ。 特に好きなのは生年月日を使った占い。 会社の飲み会でタイミングを見計らっては「誕生日教えて」と聞いて、誕生日を聞いたらすぐに「何座だ!」と応える。「なんですぐわかるの!?」と大抵のひとは驚いた顔をする。 そうやって子どもの頃から、他人とコミュニケーションをとってきた。 * 一番最初に覚えた占いは「動物占い」だった。 小学1年生の時だったか、どこかの古本屋さんで「動物占い」の本を見つけて買ってもらった。今でも手元に置いているその本は、カバーも外れ、表紙も切

        • 9月2日 ◆ 「堂本剛 平安神宮 奉納演奏 2023」の参加のため、京都へ赴く

          この夏、二度目の京都に赴いた。 一度目は家族旅行で、今回は毎年この時期に平安神宮で行われる堂本剛の奉納演奏に参加するためだった。 19時の開演に先立ち、平安神宮に到着して御朱印をいただく。平成30年から始まっている御朱印帳を見返していると、今回を含めて平安神宮の御朱印はこの時期に四度いただいているようだった。つまり、今年で奉納演奏への参列も四度目となる。 この奉納演奏は2010年から(コロナ禍の配信公演も含めて)毎年続いており、京都の街でもこの時期の風物詩として人々に受け入

        12月13日 ◆ 先輩がいなくなる

        • 10月12日 ◆ いつ死んでもいいと思いながら、今日を生きること

        • 9月6日 ◆ 私にとって占いとは何か

        • 9月2日 ◆ 「堂本剛 平安神宮 奉納演奏 2023」の参加のため、京都へ赴く

          8月23日 ◆ 衛星のように一人で暮らしていくこと

          昨夜、大学の頃の友人の家に泊まった。 わたしと同じ一人暮らしの友人だ。 ついこの間、その友人と池袋に漫画家のよしながふみが漫画で紹介していた中華料理屋に行ったのだが、その後、彼女がそこで食べた豚足を家で再現したと連絡をくれたので、次は家で中華三昧にしよう!と話が盛り上がり、仕事終わりに彼女の家にお邪魔したのだった。 家の玄関のドアを開けると、彼女は台所でアボカドを剥いているところだった。台の上には、溶かれた卵、水に浸されたきくらげが置いてあった。 すでに中華の香りが漂って

          8月23日 ◆ 衛星のように一人で暮らしていくこと

          8月21日 ◆ 『神曲』煉獄編第17歌・第18歌を繙読す

          朝、目覚めると気づいた あ、糸が一本切れている 閉じ込められていた檻が壊されたような 中に棲みついていた羊が飛び出してしまったような そのような心地 退勤しようとしたとき、入社時のいちばん最初の上司から問いが届いた 忘却の彼方にあった一本の糸を引かれる 自分の生い立ちを振り返ったような 過去から現在が一筋の道でつながったような そのような心地 今このとき、文字を書き連ねる 糸を紡ぐように 糸を手繰り寄せるように 糸を結びつけるように

          8月21日 ◆ 『神曲』煉獄編第17歌・第18歌を繙読す

          8月20日 ◆ 自分で呪いを解いて、自分を信頼すること

          きみがきみの道を往くというならば、わたしはわたしの道を往こうではないか、という思いで、この場に再び文章を綴ろうと思います。 当初定めたこの場に込めた思いとは異なりますが、想定する読者は変わらずきみであり、そして、新たに加わったわたしです。 これからの2か月ほど、文章を書く練習と習慣づけとして、日々気づいたことを此処に綴ろうと思います。わたしは、気づいたことは決意に近いものだと思っており、それは、その先に進むための足場となり、その前に戻らないための座標になるでしょう。 にわ

          8月20日 ◆ 自分で呪いを解いて、自分を信頼すること

          ささやかな祈り

          ささやかな祈り

          気高い魂を持つあなたへ

          昨日、わたしの部屋に来ることになった、あなたのことを考えている。 あなたの飼い主の一人から聞いたわ、あなたは気高い魂の持ち主だと。 あなたの意志とは関係なしにわたしのところに連れてこられて怒っていないかしら。いえ、あまりの理不尽さにそこらじゅうに嚙みついて、吠えているでしょうね。 わたしの部屋の自慢のひとつ、大きい窓の見心地はどうかしら。 あなたは少しでもこの部屋になじめるようにと最初にお見せしたものよ。 この窓から見える空をあなたも気に入ってくれるとわたしも嬉しいわ。

          気高い魂を持つあなたへ

          新しいコミュニケーションの仕方

          新しいコミュニケーションの仕方

          6月24日の夢日記

          わたしとかの人はメキシコとタイを混ぜたような異国にいて、向かい合って食事をしていた。食事が終わりかけた頃、異国の人と思われる人たちが何人か現れた。どうやらかの人の知り合いのようだった。男性も女性もいるその人たちは親しげにかの人と話し始めた。 わたしは旧式のガラパコスケータイで目の前にいるかの人に向かって返信を打っていた。もともと会う約束をしていたがお互いの体調が優れず、朝起きた時の体調で決めようと言っていたのだ。 もうすでに会っていたが、かの人からの体調を尋ねる連絡に返信で

          6月24日の夢日記

          村上春樹の書く小説たちのこと

          「この一年間、一番読んだ作家は?」と問われれば、おそらく「村上春樹」と答えることになるだろう。 村上春樹の書く小説は、この一年の前から読んでいた。順当と言うべきか、デビュー作の『風の歌を聴け』から読み始めて、「鼠三部作」を読破したあとは、当時住んでいた実家の書斎にあった本から気ままに読み進めた。 村上春樹の書く小説は面白く思っていたが、私にとってはあくまで娯楽小説の一つに過ぎなかった。 * しかし、この一年、かの人と出逢って言葉を交わすようになってから、村上春樹の書く小

          村上春樹の書く小説たちのこと

          ひょうたん

          過去、わたしの身体のなかにはひょうたんがあった。 正確に言うと、ひょうたんのかたちをした腫瘍であった。 大学一年生の健康診断のエックス検査、惜しくも見つかってしまったそれはほどなく、わたしの身体から取り除かれることになった。 おそらく良性であるが、悪性の可能性もあるので、検査のために取り除きたい。そのような理由で急に決まった初めての手術であった。 手術は無事に成功し、ひょうたんはわたしの身体から取り除かれた。 病理検査の結果、ひょうたんは良性であった。 そのため、術後の朦

          ひょうたん

          嘘と秘密

           嘘と秘密は似ているようで、異なる。 江國の言うとおりだと思う。「秘密」は生まれた瞬間は「秘密」ではなかったけれど、「嘘」は生まれた瞬間から「嘘」なのだ。「秘密」を守るために、人は時として「嘘」をつくる。 かの人の手元から、しゃく、しゃくしゃく、ちゃくちゃく、ちゃくと、不規則に不確かな音が聞こえてくるような気がした。 私がいつからかその音を恐れるようになった。ばっと明かりを灯して、その正体を目の前に曝してしまおうか(でもどのような「明かり」を?)、耳を塞いで、その音を無いも

          嘘と秘密

          時が流れるということ

          時が流れるということ 酔った夜の帰り道、あのひとではなくあなたの名をつぶやくこと あなたが教えてくれた鮮やかな色合いの服たちを思い浮かべながら、あのひとと一緒に服を選ぶこと あなたによって訪れた真っ暗な哀しみのなかで、あのひとと、存在を卑下されることなく、対等な存在として言葉を交わす夢を見ること あなたが愛したブラームスを、あのひとが知らなかったブラームスを、あのひとに教えて一緒に聴くこと あなたがあのひととなり、あのひとがあなたになり、あなたとあのひとがわたしのな

          時が流れるということ

          あなたは、わたしの、

          あなたは、わたしの、 あなたは、わたしの、鏡 あなたは、わたしの、理性 あなたは、わたしの、北極星 あなたは、わたしの、奇想天外 あなたは、わたしの、禁断の果実 あなたは、わたしの、答えのない問 あなたは、わたしの、なに? あなたは、わたしの、特別

          あなたは、わたしの、