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現実逃避のうた

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2020年9月の記事一覧

オータムの現実逃避

今朝、1丁目の奥さんが向かいの奥さんと、
立ち話しているのを聞いたんだ。
「今日から衣替えをしなくっちゃ。秋分の日を過ぎたあたりから、もうすっかり秋になったみたいね。涼しくなったわ。」
って。

やったね、ぼくの季節の到来だ。
自己主張の激しいサマーは、今年は夏祭りも
花火大会も中止だったもんだから、
不完全燃焼で退散したみたいだ。
ついこの間のことさ。
少しかわいそうだけどね。
まぁ、梅雨明けし

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ゼツボウの現実逃避

なんとなくだけど
漢字で「絶望」とかくより、
カタカナで「ゼツボウ」
こっちの方が絶望感って少なく感じると
思わないかい?

だからついこの間、
「ゼツボウ」に改名したんだ。
漢字からカタカナに変えたから、
役所に出す時は少し恥ずかしかったけれど
この先の自分の人生のこと考えたら、
思い切って改名したかったんだ。
役所の人間も、「あ、こっちの方がいいですね」みたいな顔してた。

けど俺はこの名前だ

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はじけたいのにはじけることができないシビアの現実逃避

いいかい、
今日からぼくは新しい自分になる
この誕生の瞬間!
太陽はぼくだけを照らし
ぼくの中にある暗闇は幕を閉じた

夜が来たって平気さ
月はおしみなく柔らかいヒカリを
ぼくの頭に降り注ぐのだ
まるでコーヒーにうかぶなまくりーむ
みたいに、穏やかに
そして、なめらかに

あははは
変われるって素晴らしい
新しい人生を始めることは
こんなに簡単なことだったのか
これまでの自分は本当の自分じゃない

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きんねんまれにみるの現実逃避

(80才、三郎の場合)

近年稀に見る正月を過ごしておる。
ことしの正月は、おもちを食べない代わりに、わしは駄菓子屋の餅を買ってきた。
ほらあの、ピンクの色した小ちゃい餅の菓子で、つまようじが入っているやつ。
孫が食べているのを見て、コレが、わしには合ってるカモと思った。
もちは食べきれないし、もう歳だから
あれで十分じゃ。甘くてうまいし、胃にもたれんし。
なにより喉に詰まらなくて済む。
妻はきな

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