木々を赤く燃やす夕陽を浴びながら、心に色が付くならば、まさにこの色だろう。自然が遥香の心を映し出しているように思えて頬が緩んでいく。 木々の隙間を縫うように歩き…
8月の終わり。盆も過ぎようとしている夜の海。押見とその恋人である麻宮はのんびりと海岸を歩いていた。 遊泳期間の終わった海水浴場程、落ち着いて通えるものはない。 盆…
つらいよりたのしいを数えて くるしいよりしあわせを数えて 心にふたをして墓標をたてた さけぶよりわらうことを優先して わめくよりあそぶことを優先して ひび割れた墓標…
星詠
2022年9月9日 16:56
木々を赤く燃やす夕陽を浴びながら、心に色が付くならば、まさにこの色だろう。自然が遥香の心を映し出しているように思えて頬が緩んでいく。木々の隙間を縫うように歩きながら、最もいいモノを探していた。大樹。その下の土には窪みがあり、木の上からは眺めが良く、他の木立が景観の邪魔にならず、誰にも使われていないもの。肝心なのは、誰にも使われていないもの。という一点であり、他の要望は単なる要望に過ぎない。そ
2022年11月9日 16:54
8月の終わり。盆も過ぎようとしている夜の海。押見とその恋人である麻宮はのんびりと海岸を歩いていた。遊泳期間の終わった海水浴場程、落ち着いて通えるものはない。盆の海には近寄るな。なんて少しばかり神経質になり過ぎだと押見は思っていた。盆を過ぎたらクラゲが出やすく、天候不順になりやすいから行くなと言っているだけだ。今日のように穏やかな海ならば、夜だって危険は少ない。海街で生きてきたからこそ海を知って
2022年9月12日 23:06
つらいよりたのしいを数えてくるしいよりしあわせを数えて心にふたをして墓標をたてたさけぶよりわらうことを優先してわめくよりあそぶことを優先してひび割れた墓標の下にあるものはみないふりをした泥寧から手招きをつづけるそれにのまれないようにそれにとらわれないように目を伏せていちぶをまたおとしたそのうち誤魔化せなくなるだろうわかってるわかってるその日は近くその日のぼる階段から見る