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盲目

たとえば、昨日食べたプリンの味とか、そういうもの一つひとつを忘れたくないって思う。

人を好きになるっていうのは、きっとそういうことだ。

ありふれた日常のたった一コマをどうしても忘れたくなくて、瞬間を切り取る。記憶する。
そんな行為とともに、愛が積もる。

好きな人と同じものを食べて、美味しかったねって笑い合えることがどれほど幸せなことか。とっくにばれてる気持ちを押し殺しながら、「最近どうなの?」って聞くことがどれほど悲しいことか。

簡単に消えるような気持ちなら、最初から好きにならない。ばかみたいに盲目。

カラメルソースは少し苦かった。一方通行でもいいって思えるなら、どれほど楽だろう。次はとびっきり甘くしよう。そう思ってみるけど、結局わたしはいつも同じモノを選んでしまうのだ。

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