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2019年に図書館で借りて読んだ本たちを振り返る

自分の家から近いので、割とよく図書館に行きます。

毎回、何冊かの本を借ります。
帰る前に閲覧スペースで借りた本の冒頭に目を通していきます。

モチベーションがあるときに少しでも読み始めておくことで、日々の読書がはかどる気がします。同時に図書館の空気を吸っています。空気は大事。


図書館で借りてきた本を返すときは、整理して袋に入れて持っていきますが、ついでにスマホで写真を撮って記録を残しています。
それを手がかりに簡単に一年分の読書(の一部)を振り返ってみます。

(この記事では、借りたけど結局あまり読まなかった本は除外しています。もちろん購入して読んだ本や、友達に借りて読んだ本なども含まれません)


2月

切れた鎖 田中慎弥
アッシュベイビー 金原ひとみ
パン屋再襲撃 村上春樹
告白 湊かなえ

暗めの小説を読みたい月。湊かなえ「告白」は人の勧めで読んでみました。ふだん読まない推理小説を、人の趣味で読むのもいいですね。

田中慎弥(芥川賞受賞作の「共喰い」が有名)の小説は、去年の末からいくつか読んでいました。
生命とはそもそも暴力性をはらんでおり、それを新たに生み出す生殖もそもそも暴力性をはらんでいる。ただ綺麗なだけでは生きられない。
そんな風に提示されることで、自分のなかにある罪悪感のようなものに形を与えられ整理できたような感覚になりました。
ほとんどすべての暗闇が人工の明かりで照らし出され平面的になってしまった令和とは違い、土地ごとに異なる土着の文化が色濃く残る昭和の世界が鮮やかに描き出されているところも魅力的。
便利になった分、失われたものがある。だから僕らはこんなにも孤独で不安なのだと思う。
ただ便利になった分、得られたものもあるはずなので、僕はネットを拠点に創作をしている。(一冊は簡単に振り返っていくつもりが長くなりました)


4月

詩集を読んでいました。
茨木のり子、石垣りん、宮沢賢治、中原中也あたり。ただ記録を取り忘れたようなので詳細はわかりません。

この時期に読んだ「サラダ記念日」俵万智が、短歌を始めるきっかけの一つになったことを覚えています。
もともと短歌が好きだったわけじゃない自分のような人間にも、ジャンルの垣根を越えて良いと感じさせるのってすごい力だ。


5月

吉本ばなな 自選選集1 オカルト 吉本ばなな
吉本ばなな 自選選集2 ラブ 吉本ばなな
毒になる親 スーザン・フォワード
黒魔女さんの小説教室 石崎洋司

よしもとばななブームが来た。

毒親本も(主に購入して)何冊か読みました。自分がいかにハードな環境に置かれていたのか、それはどういう構造だったのか等についての理解が深まりました。癒され度が半端ない。
親を一人の人間として考えた場合、親の親つまり祖父母も難しい人(そして苦しんでいた人)のようで、この血脈を考えると自分がさらりとうまく生きられないのも当然だろうな、という俯瞰の視点も得られた。
誰かを激しく憎んでいた時期もあったけど、いまは自分にできることをやるだけだと思っている。……と言いつつ、眠れない夜もあれば目覚めの悪い朝もまだまだある。そんな簡単じゃない。難関が続く。
だとしてもまだ諦めてない自分は強い、ということにしておく。


ツイッターにも本の感想があったので、貼っておこうとおもう。



6月

つめたいよるに 江國香織
神様のボート 江國香織
恋するために生まれた 江國香織、辻仁成
銃・病原菌・鉄 上 ジャレド・ダイアモンド

つぎは江國香織ブームが来た。

また「銃・病原菌・鉄」は人類史の本で、タイトルに出てくる三つの要素が人類史に大きな影響を与えているらしい。
物事や歴史を俯瞰的に理解すること、自分がどこから来てどこへ行くのかの理解を深めることで、癒されたいというモチベーションで読み始めた。
かなり分厚い本だけど読んだ価値は十分あった。良い本だと思う。



8月

夜想曲集 カズオ・イシグロ
ナラタージュ 島本理生
銃・病原菌・鉄 下 ジャレド・ダイアモンド




9月

自閉症スペクトラムがよくわかる本
非定型うつ病のことがよくわかる本
よくわかる統合失調症
自傷・自殺のことがわかる本
女性のアスペルガー症候群
女性のADHD
アスペルガーの館 村上由美

いままで僕が重要な関係になった人たちは、このあたりを勉強しておくと良い付き合いができそうな人が多かったので、改めて勉強した。
過去のいくつかの出来事の見え方も変わったし、今後にも活きてきそう。



10月

かんたん短歌の作り方 枡野浩一
はじめての短歌 穂村弘
短歌ください 穂村弘
水中翼船炎上中 穂村弘
美しい子ども ジュンパ・ラヒリ, ミランダ・ジュライ, アリス・マンローほか, 松家 仁之編
自閉症だったわたしへ ドナ・ウィリアムズ

冬ごろからは短歌の勉強。これまでは見よう見まねだったけど、飛躍的に伸びた気がする。
とくに「かんたん短歌の作り方」枡野浩一と「はじめての短歌」穂村弘は、素晴らしい入門書だと思った。
もはや短歌の入門書という枠を超えるくらいの良さを感じた。それは書き手の個性や人生が反映されているからだと思う。

「美しい子ども」はミランダ・ジュライの「いちばんここに似合う人」が好きなのでその繋がりで読んでみた。
ミランダ・ジュライの小説は、叶わないまま肥大化した理想みたいなものを諦めさせてくれるところが良いと思う。肩の荷が下りる。



ついでに電子書籍で購入した「短歌という爆弾」の感想ツイートも。


11月

てのりくじら 枡野浩一
ドレミふぁんくしょんドロップ 枡野浩一
スプーン 林あまり
短歌ください その二 穂村弘

僕はまだまだ読んだ短歌の数が足りてなくて勉強中なのだけど、その中で覚えている(暗唱できる)歌のほとんどは枡野さんの作だ。

無理してる自分の無理も自分だと思う自分も無理する自分(枡野浩一)

枡野さんの短歌は、自分の人生の中の悲しみや苦しみを乗り越えるために作られたように感じられる歌が多い。
そのため、読み手は詩的に示唆されるという形で数々の指針を得られる。(HIPHOPとも通ずる要素がある。僕は音楽だとHIPHOPが大好きです)


12月

短歌ください 君の抜け殻編 穂村弘
ぼくの短歌ノート 穂村弘
など(まだ読んでる途中)

「短歌ください」が好きなので、自分でも投稿してみました。


あとがき(欠如・学び・成長)

2019年も密度の高い読書ができて、その学びは自分の血肉へとなっていきました。ここ数年、ずっと良いペースで成長し続けられている感があります。

(逆に十代の頃はひたすら受験勉強で、それ以外の部分は悩んで迷ってばかりで思うように進めなかった感がある。

異常な家庭に生まれ育ち、子供時代に皆が親から与えられていた様々なだいじなものを僕は受け取ることができなかったので、自力の別のやり方でそれらを獲得・習得する必要があった。

まだまだ自分の力不足を感じることも多いけど、生まれや育ちの困難もどうにか糧にして進めたらいいなと思っている。そんな苦しみを経験した人間にしか出来ないことがきっとあるはず。言うは易し行うは難しだけれど。)


▼これまでの歩みの話を書いたエッセイ


さて、今年の読書は特に短歌関連が多かったですね。短歌を詠むこと・読むことは、「ただ短歌をやる」以上の内容があります。
おそらくスポーツや音楽などでもそうなのだと思う。小説もそうだし。

2020年も、良い読書ができたらいいなぁ。
無料でこんなにもたくさんの本が読めるなんて、すごい施設、図書館。



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