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双極症の本を読む

「躁鬱大学(坂口恭平)」「双極Ⅱ型障害という病(内海健)」を読みました。二冊とも双極症をとりあつかったものですが対照的な二冊ですね。
前者はエキセントリックに次ぐエキセントリックで飲み込みきれてない部分もあるのでまた今度。
とりあえず後者の本についてざっくりと触れます。

主治医の先生に「情報に触れるならこれを」と紹介してもらった本です。「一般書です」と紹介を受けましたがちょっと難易度高めな気がしました。患者向けと精神科医向けの間という感じ。
難しいだけに「躁と軽躁の違いは?(Ⅰ型とⅡ型の違いは?)」「境界性人格障害との識別は?」など、ネットではふれにくい解像度の高い情報にもアクセスできます。この二つの問いにはなかなか答えを見いだせなかったのでうまいこと答えてくれた感じがします。
簡単に載せますが私の要約なので間違っていたらごめんなさいです。

躁と軽躁の違い、これは「ある程度やり遂げられるか」に出るようです。躁だと次から次へと発想が「跳ぶ」。一目で入院が必要だとわかる場合も多い。軽躁だと活発さはあるがある程度一定の効果をもたらすこともあるのだそう。
症例をみるとわかりますが魅力的な企画書を書いたり、新事業を開拓したり効果を上げることもあるのとか。ただ過程の中でやりすぎてしまったりトラブルに発展し、やりとげられないことも多い。しかし企画自体が立ち消えというよりは軽躁のデメリットがメリットを越えたときに継続を困難にするのでしょう。

境界性人格障害との識別。
境界性人格障害は「見捨てられ不安が強い」「対人ストレスに対する反応性が強いか」という説明をみたことがありますがあんまりしっくり来てませんでした。
「双極の場合は一定の生産性を保っていることが多い。境界性人格障害は魅力的な外観に反して中身が空虚なことが多い」なかなか辛辣です。
しかし双極で注意したいのは「人格と病状の混ざり合い」とのこと。
うつ状態が続くにつれ、「病気をよくしよう」というモチベーションは薄くなり、性格までもが変わってしまったように見える。「士気とモラルの低下」とも記されています。
私が、こわいな……と思ったのは実際にこれを経験したからです。問題行動を繰り返し、叱られれば逆ギレ、叱られたことがフォーカスされ「誰も私の苦悩を理解しない」とうちひしがれ、また負のループが回るわけです。早い時で数ヵ月でこの「低下」が起こると書いてあります。結構あるあるなのね……。
どこまでが自分で、どこから病気なのか本人にも医者にもわからなくなってしまう。結果、人格障害のようにも見えてしまう、とのことです。
※この問題については、個人的には訪問看護などのサービスを利用することで「他人の目」を委託しようと思ってます。先になりそうですけどね。

最終章にちょっと筆者の先生の思想がでちゃっている気もしますが個人的には地に脚のついた良書だと思います。ただどこまでも標準的というか患者目線での目新しい治療というのは見いだせないかもしれません。
「双極症の自分に今なにが起きているか?」をつかむヒントにはなるかもしれませんね。そういう目線ではおすすめです。

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