- 運営しているクリエイター
記事一覧
短歌連作「rob/sub」
片翅をもがれて振れる鬼蜻蜓 実存は怪しくてこんなにも
高校の時知り合ってたらきっとマーブル模様だっただろうね うるさい9月
笑わなくなった従姉妹の右手には月の剥げた絵札 鯉が浮く
秋の停車場で萎びた朝顔を千切る 集団下校の匂い
Wedding cakeに満ちる水面の重み した/してくれた事柄
持ち去った季節を覚える義務があり 夜間急行は嘶き声で
それからの fuel 生活の記録と fo
短歌連作「wake」
生傷のごとく短い八月のビデオテープに再生機能
未完とはゆれる海面 お茶の味変わっちゃったしもう帰ろうか
「猫いたよ」とかの連絡されて ああ 守ろうとしてくれたんだよね
夕暮れの眩しさ握りしめる 俺ジーンズ似合うねって言われたい
知っている街のバス 知らない街で頼むのは辛い麺類ばかり
ウーロン茶、う・う・ろんちゃって粒立てて 笑うところまだ分かんないよ
満席の居酒屋チェーン 歌っても踊っ
短歌「Lucky Boy」
もう胸に電光掲示をつけてやりうっすらスマイルマークを流す
この鍵は実家のだったと呟いて ごめんねって右耳下げていた
生活はこんなに美しかったっけ歯を磨くたび歯は永らえて
運命があればいいのに辛いなら車海老だって剥いてあげるよ
月は武器 声は振動に過ぎなくて無理に話さなくてもいいから
歯並びが綺麗じゃないしクリスマスソング歌えるから恥ずかしい
おれは詞にあのこは北に行きついておなじ運河を
最近の短歌詰め合わせセット④
一心に風受けきってきたんだね白菜を冷ますあいだのことば
見かけよりずっと穏やか特別な夜に埋まって帰らないひと
羊雲みたいなダウン着た彼もバスに乗り込む つまんない朝
楽しかったよ薄緑のプレートにカッサータの欠片こぼれてて
にぶい夢 裸足で踏み抜いた鏡に女の笑みひとつふたつみっつ
コンデンスミルク必死で絞ったら鋏を持ってきてくれたのに
最近の短歌詰め合わせセット②
紛い物のフライパンで炒った卵の剥げたテフロンまで所有物
我学問は荒みぬ、自制心なしに綺麗な森で迷った挙句
クソ映画観たよ本当に最悪で泣けてきたなんで一人で観たの
手土産のクッキー缶をぶら下げて髪を染めてみたら気づくかな
全身の写真を見せて顔だけを拡大された 地獄にいけよ
solitude まだよく分からないままに青山ブックセンターにいる
くちびるの色素沈着 愛おしいほどナンがでかいイン
最近の短歌詰め合わせセット
金網のゆがみ潜ってもう二度と戻れなくても良いような浜
どうせドラクエの世界でキングリーマンとしてまとめられちゃう俺
パック詰めされた四匹 クリスマスの空気はとても耐えられなかった
高そうなレインコートを着たパグに見下され俺も見下し返す
おっぱいが膨らんだやつからドッヂボールをやめていく、おれ外野
砂だらけビーチサンダルを取り残すんじゃないよギュンと腿が攣ったよ
つまらない深夜の通販番組
短歌連作「シュレディンガーの夏」他
『シュレディンガーの夏』
道のりを早さで割って出たものが実感として伴わなかった
校庭で弾むあの子のタイムならコンマの先まで覚えてるのに
「こんなんじゃにげきれないよ」非常口のフォームにダメ出ししているところ
エナメルが西日を反射していつも横断歩道で見失ってる
ハロハロを頬張る 春の気配ならストーリーと一緒に消えた
いつまでも寝れない夜は件名の:reの数を数えて寝ます
勘違いされたいリ