ソラリスの非-存在論
そもそもソラリスとは存在なのか概念なのか、あるいはなにものかを作る創造者なのか、単なる受容体なのか…。圧倒的かつ絶対的な他者として人類の前に出現したソラリスは、レムの小説ではきわめて美麗で巧緻な表現によって「海」とされている。その全体的な流れ、飛沫、渦巻き、色彩、温度感覚などがまるで生き物のように蠢くそのさまがレムの筆力によって描かれている。だから、読者は最初からこれを「海」と思って接してしまうだろうし、現にタルコフスキーの映画においてもソラリスは「海」として映像化されている