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念能力が使えたとしたら

最近は絶賛HUNTER×HUNTER中でして、旧バージョンのアニメをひたすら見返す日々を送っています。とはいえ1日2話ぐらいのペースでしか進まないので、鈍足も鈍足。ようやくグリードアイランド篇に突入しようかというところまで来ました。

それにしても、話が面白い。念能力習得の過程なんか、本当に面白い。冨樫さんの作品もジャンプ王道系ではありますが、他の作者のストーリーとは一風違う空気を感じます。その要因の一端を担っているのは「制約の描き方」にあるんじゃないかなと思いました。

例えばハンターハンターにおいて肝ともいえる念能力。念能力は、取得する人によって強化系とか変化系というような特性が先天的に定められていて、取得できる能力には制限ができてしまう。超人的な能力の中にも得意不得意があるというのが、ストーリーにおいても大きな影響を与えてきます。

主人公ゴンの仲間の一人であるクラピカは得意体質によって、全ての系統の力を100%引き出すことができる特質系の能力を体得することになるのですが、それにも命を引き換えとする莫大なる制約が課せられている。

例えばワンピースにも、悪魔の実は一つしか食べられないとか、食べるとカナヅチになるとか制約は存在していますが、ハンターハンターにおいてはよりキャラクターの個性に寄り添っていて、腑に落ちる部分が多いように感じました。

クラピカしかり、キルアしかり、ゴンしかり、個々人が抱えているマイノリティが制約としてうまく機能している。さらにいうと、その制約を乗り越えようとする過程の描き方が抜群にうまいな、と感じました。

多くの王道漫画の典型は、「より強大な敵を倒す」ということが目標に掲げられています。しかし、ハンターハンターにおいての敵とは、キャラクターそれぞれ自身、すなわち自分自身を克己していくことば目的とされている。だからこそ、制約が切実に生きてくるし、それを乗り越えるために払う犠牲が重く強く物語の中で動き出す。

漫画から生き方を学ぶなんてあまりにありきたりですが、制約と犠牲と実現という三つのテーマは、人生においても重要なファクターとして存在し続けるのではないかと、ふと思ってしまいました。

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