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詩のページ

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記事一覧

君へ(詩)

君へ(詩)

覚えておいて

楽園なんてものはないって

いつだって 完璧なひとつのものはないの

どんなものも ひとも 長所は短所だから

ひとりだけではできないことが

ひとつだけでは満ち足りないことが

あって当たり前

心も 悲しいがあるから嬉しいことを

感じられるように

世界はいつも そのすべてで成り立っている

すべてが 必要とされている

どうして(詩)

どうして(詩)

どうして

わたしはいつも間違えてばかりなんだろう

どうして

ぼくはみんなと同じに出来ないのだろう

そう思ってしまうとき

決してあなたは悪くない

そんな問いが 生まれない社会であってほしい

夏の懐かしさ(詩)

夏の懐かしさ(詩)

夏が来ると わたしは懐かしい
それはどうしてか 自分にも分からない

草のみどりのにおいが
照りつける太陽の日差しが
夕暮れ時のヒグラシの鳴き声が
わたしに何かを思い出させる

過去や未来なんていうものも知らずに
ただ夏のなかを生きていたあの頃のわたしを
身体が思い出してすこし切ない気持ちになる

あの頃のわたしも
まわりの人たちも
今はもう、ここにはいないので

あれはあの夏だけのものだったんだ

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For Clematis no Oka(詩)

For Clematis no Oka(詩)

そこではいつも心地良い風が吹く

緑にあふれ 花にあふれ

誰もこばまない やさしい庭園

ただひとり、風に吹かれたいとき

いつもクレマチスの丘に行く

穏やかな陽の光のもと

自然と一緒になって深く息を吸う

追記
旅先で偶然出会った、静岡県三島市にある「クレマチスの丘」のヴァンジ彫刻庭園美術館がとても好きです。現在は休館中ですが、再開を心待ちにしています。

【クレマチスの丘】公式サイト
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白と黒(詩)

白と黒(詩)

白は表で黒は裏

白は本当で黒は嘘

白は期待で黒は失望

これしかないと思ってすぐ白になる

これじゃなかったわとすぐ黒になる

わたしが生きているのはグレー

だけど、求めているのはいつだって白のほう

白が黒になってしまうことを恐れながら

確固たる白をずっと追い求めている

種を蒔く(詩)

種を蒔く(詩)

旅行の計画を立てる
まだ行ったことのないあの街は
どんな場所だろう、どんな景色だろう

チケットの抽選を申し込む
もし当たれば絶対に有給を申請して
大好きなあの人に会いに行こう

漫画の新刊を予約する
気になるあの続きがようやく読める
その前に 前の巻をもういちどおさらい

新しいノートを買う
なんでも自由に書いていい白紙のノート
まっさらな1ページ目に書くものを考える

そうやって未来に種を蒔く

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ネオン(詩)

ネオン(詩)

光り輝く街 東京で 私は暮らしている
飛行機から見下ろす夜景は とても美しい

夜の都会にはたくさんの光がある

ネオンの光
マンションの光
オフィスの光
居酒屋の光
ライブハウスの光
信号機の光
電車の光

こんなに明るい光のなかにいても
まっくらな夜がたまにある

都会の光が自分を照らしてくれるわけではなく
都会の光が自分を何かに変えてくれるわけでもない

どこに住もうとも自分次第なのだという

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こどもとおとな(詩)

こどもとおとな(詩)

親戚の集まりで

小さな従姉妹がみんなに聞いた

「ねえ、おねえちゃんてこども?おとな?」

純粋な問いだった

わたしは16歳だった

それを聞いた父はすぐに

「まだ、子どもだよ」

と、優しい笑みを浮かべて答えた

ああ、わたしまだ子どもでいて良いんだ

と、安心したこと

なぜかふと思い出した

26歳のわたし

流れ行く雲(詩)

流れ行く雲(詩)

雲が流れていく
あっという間に姿を変えて
さっきまで見ていた雲のかたちは
すでにここにはない

絶えず変化し続ける雲
変わっていくのにずっと美しいのが不思議だ

靴ひも(詩)

靴ひも(詩)

靴ひもを

結び直していると

ひとりだけ

みんなにどんどん置いていかれる

そんな気がする

けれど

ほどけたまま

騙し騙し

歩き続けていたら

きっと大きな怪我をする

だからときには

立ち止まることも必要なんだ

結び直してまた

歩き始めれば良いんだから

花咲く場所(詩)

花咲く場所(詩)

置かれた場所で咲きたいけれど

ここが砂漠ならしょうがない

水のある土地を探しに行こう

根を張れる居場所は必ずあるから

恋人たち(詩)

恋人たち(詩)

寄り添って月を見上げる

静かな恋人同士がいた

2人がいま考えていることが

たとえ違っていたとしても

その姿は美しかった

真夜中の本屋(詩)

真夜中の本屋(詩)

真夜中の

本屋で出会う

明日につないでくれる言葉

4月1日とぼく(詩)

4月1日とぼく(詩)

4月1日

ぼくはきのうと何も変わらないのに
ぼくを見るまわりの目が変わる

今日から一年生
今日から受験生
今日から社会人
今日からリーダー

ぼくが変わったわけじゃないのに
ぼくの扱いが変わる

ぼくの気持ちはちょっと焦る
自分じゃないような気分になる

ぼくは、きのうの続きのぼく
名前のないぼくのままでいたい