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Words From いしい③

     ━━━━━━ 前回までのあらすじ ━━━━━━

理不尽な求人と引き換えにようやく本当にやりたい事を見つけた、いしい
思い立って、転職活動をかなぐり捨ててフルタイムでアルバイトしながら写真学校に入学する事を決意。
NEETからフリーター兼学生に肩書きも変わり、どのような事態になってしまうのか・・・

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●EdenとHeavenをartで繋ぐから”Earth”なんじゃねえの?


入学前に体験入学やオリエンテーション、係の人と軽い面談を経て、めでたく入学の運びとなり、いよいよ同じ科の人達と顔合わせとなる日が来た。

「多分年齢は上だし、友達を作りに行くわけでは無いから絶対に周りと仲良くならん、俺は名もなき孤高のロンリーウルフだ!」

最初はこんな思考でした。このクズは。
教室に入ると自分を含めて13人の人間が存在しており、定番の自己紹介の流れとなった。

「著名なフォトグラファーのアシスタントしててもっと写真を・・・」
「デザインの仕事してて写真撮れたら幅広がると思いまして・・・」

と、中々なレベルが高い内容が続き「おぉん。何かエライとこ来ちゃったな・・・」と狼狽えましたがいよいよいしいの自己紹介ターンとなった。

「えー。医療事務が嫌になって辞めまして、紆余曲折あってフォトグラファーになりたいと思い入学しました。29歳なんで多分一番年が上だと思いますがよろしくお願いします。」

と、軽く一言挨拶して、後ろにいた人に自己紹介の順番が回って、その人が
「自分は33歳なんですが」と口を開いた瞬間「うえ?」と思い
「イエーイ!」と原監督ばりのグータッチを何故かしたのはいい思い出です。

「ロンリーウルフを気取る」などと思っていた、いしいですが
クラス自体の年齢がバラバラ(最大10歳くらい開き)で各々の色があったが「写真のスキルを身につける」というゴールは一緒なので切磋琢磨するという意味で無駄にいがみ合ったりという事は全く無くて、結局クラス自体めちゃくちゃ仲良くて
「過去一、気持ち悪いくらい明るいフォト科ですぅ・・・」
と、前年以前がどれだけ歪んでたか知らんが仲良過ぎてスタッフさんが引いていたくらいです。
あとは授業終わりに学校近くにあった一軒め酒場という財布にとても優しい安居酒屋で夕食兼酒盛りで絆を深めるどころか、同じく授業終わりで一杯ひっかけてる違う科の人達と仲良くなってた始末だったし

一部のクラスメイトやその違う科の人達は卒業した今でも連絡取りあったり、定期的に会ったりしている間柄だったりします。
間違いなく言えるのはここでの出会いは本当に素晴らしいモノだった。
ロンリーウルフ気取らなくてなくて良かったね。って話
変にカッコつけて遅れてきた中二病のようにスカしてたら今頃、枕に顔をうずめて「いぎうsぢfぢfhすぢfがしうfdぎあsふぃうdgふぃ!!!!」と絶叫していたことでしょう。


●「低温やけど注意」はフランクな関西弁じゃない


授業内容は座学スタジオワークの半々でした。
座学はカメラの構造や歴史、アート、ファッション、用語解説など目からウロコが出るような内容が軸で、一方でスタジオワークは機材の扱い方や組み立て方、機材が作る光の性質、各ジャンルに特化した撮影方法のノウハウなどでした。

印象的でいて、いしいの軸を作ったであろう授業(実技?)として
「デジタル世代のオマエらにフィルムの洗礼をお見舞いするのでフィルムカメラで好きなモノ・事を撮ってきなさい」という課題が出た時に暗室に入ってネガフィルムを1から写真に現像するという授業がありました。

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※ こんな感じにネガから像を写した印画紙を現像液とか酢酸でしゃぶしゃぶする暗いお部屋

実は元来、入学した時は物撮りのフォトグラファーになりたかった(前回の子供写真館の件があったせいか)のですが、行きつけの焼き鳥屋のマスターの働いている姿がカッコよくてそれを撮影したネガを現像して提出したら先生からも良い評価を貰い、周りも普段のスタジオワークの立ち回りから「いしいちゃん、人の方が上手いんじゃない?」と言ってくれたのでここから考えが揺らぎ始めました。
結果として、その現像した写真をお礼として額装してマスター本人に渡して喜んでもらえたのをキッカケに「人物を撮ろう」と思うようになりました。

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※ 実際の写真

(あと念のために。 今現在でも物撮りも全然やりますし好きですよ。)

●声に出して読みたい日本語、「ここがええんか?」


楽しく刺激的だった日々もあっという間に過ぎていよいよ卒業となった。

一部の人達は前記の通りデザインのスキルなど自分のベースがあったため、卒業後はフリーで力強くやっていく人もいたり、ブライダル系の会社のインターンに行ったりと各々道が出来ていた。

一方、いしいは転職目的であったため急な求人などはなく卒業後は路頭に迷うのが確定していたのである。
しかもちょうどこの頃、バイト先が経営不振に陥り折り合いが悪くなり、ちょうど辞めたタイミングだったので更に詰みに拍車が掛かった状況でどうしようかと頭を抱えていると打ち上げの席で先生から
「靴の物撮りのスタジオでアシスタントしない?」
と、お誘いをいただき二つ返事でアシスタントになることに・・・


━━━━━━━━━━━━━今日はここまでッ!

ええ、ええ。まだ続きますが何か?
次は「アシスタントと地獄の派遣社員編」でお会いしましょう。

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