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Words From いしい⑤

       ━━━━━━ 前回までのあらすじ ━━━━━━

アシスタントと派遣社員で1年間フワフワしていた、いしい。
派遣先の変人トップとの衝突で急にやる気がなくなったと同時に今までくすぶっていた転職の思いに火が付き、遂に転職を決意。
思い立ったが吉日で物凄い勢いで準備をして、勢いで退職し再び無職へ舞い戻る・・・
転職活動を経て果たしてどうなってしまうのか?クソ長シリーズ堂々完結!

       ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●不可能とは可能性だ。

勢いで退職し再び無職になった日は4月1日だ。
世の中はエイプリルフールだがこれは虚像ではない。紛れもない現実だ。
そして再びハロワに戻った。戻ってきたのが実に2年ぶりで「まるで産卵で生まれた川に戻ってきた鮭のようだ」と錯覚するところだが、それどころではない。
今は「フォトグラファー」として就職する事しか考えられないのだ。
その為に派遣社員も辞めたし、何より遠回りではあるが専門学校にアシスタントという経験値、何よりそれを肥やしに自費で製本した作品集という強い武器もある。

職種を「カメラマン」に設定し、ハロワ内のPCで検索をかける。
どこかで見たことがある子供写真館の求人も出てきたが更なる高みを目指しているので華麗なスルーを決め込む。
川で砂金を探すかのように地域、給与体系という振るいに掛けたり、逆に募集年齢の制限で振るい掛けられたりして厳選した5件ほど候補を絞り込んだ。

●不可能とは通過点だ。

・A社
ポートレート専門の会社で書類審査は余裕で通過し、早速その週の日曜日に面談となった。
人事部長とその上司(役職的に部長?)との面談になり、作品を見せながら質疑応答という形で面談は進み、そのうち部長と人事部長は「うん。ほぼ採用のレベルですね!」と言った。
この言葉を聞いた瞬間「ふん!当たり前だ!」とかサイヤ人の王子様みたいなセリフは噛み砕いた。

そして早速、その翌週にはコチラに判断を任せるという名目で職場見学兼職務体験でお邪魔する事になった。
幸先よく熱々のトーストの上をバターが溶けるが如くスムーズに事が進んで行くのが気持ちよかった。
職務体験後に人事部長のみと意思確認という形で面談となった。

人「体験してどうでしたか?」
い「スタジオは慣れてますので大丈夫です!」
人「良かったです!それでは後日ご連絡差し上げます。」

ハッキリ言って手応えしかなかったし、最初の募集でこんな簡単でいいのかと思ったくらいで、面談から数日後に行きつけの焼き鳥屋で祝杯も兼ねて気持ちよく一人で飲んでいたら、メールフォルダにA社よりメールが入っていた。
お。来た来たとメールを開くと・・・

「協議の結果により今回の採用は 見 送 ら せ て 下 さ い 


             ・・・は???

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はあああああああああああああああああああああああああああああ????

xhふぃおhdfwせrgふfぐssdふぃそhそいhdしghkぽdこdfjさしおdfしじょsすgfっすgづづいこkさdfにどdだfぢそjふ

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あまりの急展開さに、いしいに電流走るッッ━━━━━━・・・!


メールを何度読み返しても「採用を見送らせて下さい」としか書いていない、祝杯が一気にどんよりとお通夜へと転じた。
はたして「ほぼ採用のレベルですね!」とは一体何だったんだろうか・・・
口約束というかリップサービスの一環とは言え、期待感だけ煽っておいて結果、不採用ってどうなんでしょうね?
国が国なら法廷か軍事で争うレベルだと思うんですが・・・

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・B社
下半身産業の宣材スタジオを持っている会社、例のごとく書類審査は余裕でパスし、これまた面接に招かれた。
通知には「書類ではアナタの事は解らないので当日はリラックスしてお話下さい!」と爽やかな文面が踊っていたが、いざ会社に赴き対応した面接官の女性の方がドえらく寝不足なのか目が赤く血走っており目の下のクマが凄かった。
そしてそのコンディションに付随するようにテンションがめちゃくちゃ低く目つきが刃物のように鋭い・・・。
それはまるで寺院の奥でまんじりと鎮座する不動明王と見間違えるくらいだった。

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「ぇぇー・・・よろしくお願いしm・・s・、本日、面接を担当する○○と申しまs・・・・(生気なし)」
表情筋が動かないのかってくらいダルそうに蚊の飛ぶような声で面接官は挨拶をした。
更には初対面でいてビジネスシーンとは言え、親の仇かのように睨まれるのっても理不尽が過ぎる。

こ れ で リ ラ ッ ク ス し て 話 せ っ て の も 無 理 が あ る 。

この時点で嫌な予感がしていたが見事的中した。
”あ!コレ進研〇ミで出たところだ”ばりの「あ!コレ圧迫面接だ!」
あるとは聞いていたがそれこそ大学出た時の就活活動では遭遇したことも無かったのでまさかここに来て当事者になるとは思わなかったし、こんなに露骨なのかと思ってしまった。

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この不機嫌な面接官の高圧的な態度に飲まれてしまい
質問の回答にしどろもどろで噛みまくり、「アナタを色で例えると何色ですk・・・ぁ・・?」という哲学的で悪意しかない質問もやや支離滅裂気味に答えたのを当日の記憶を拒否した頭はうっすらと覚えている。

「ハァァアアア・・・!(クソデカため息)・・・なんでA社落とされたと思いm・・s・・k・・?」
もう喜怒哀楽の感情がこの人は「怒」しかないんじゃないか?と錯覚もするし、おおよそ面接で取るべきではない失礼な態度に失礼な質問も飛び出したくらいだった。

これでもかってくらい手応えなかったし、もう落ちたのは明確だったので
何なら後でメールにてお祈りされるのも癪(しゃく)に障るくらいだったから途中で帰ろうかと思ったけど、圧迫面接の真意って過度や急なストレスにどれだけの耐性があるかを見てるとかいう意味不明な判断方法だ。
ここでキレ散らかして感情的になろうものなら相手の思惑通りになるのも、それはそれで癪だったので最後まで居てやった。

・・・うん。でもまぁ結果は予想通りでした。


・C社とD社
お客さんが着物を着て写真を撮るスタジオのC社と記憶が確かなら新しく出来るスタジオを構えるD社の募集に履歴書と作品を添付という事で募集に応募したんですが結果として2社共不採用でした。
それでいて、どっちかの会社から未だに作品返してもらってません。


●不可能とは事実ですらなく単なる先入観だ。

・(未来の)弊社
C・D社の通知を待たずにB社の面接後に速攻で応募、実はハロワの求人の中では最後の候補でした。
ここが不採用になったら、またハロワでマシな求人を待つか、最悪の展開としては千の風になってRest In Peaceいしいです。

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なので落ちる訳にはいかなかったので面接前日の夕飯にはゲン担ぎで西友のカツ丼(30%値引き)を食べたのをよく覚えてます。

あらかじめの書類選考は難なく通過で、時は4月から5月へと入りGWの幕開けも早々に即面接となった。
試験内容は面接に加えて、唯一の実技有りだった。
「スタジオの実技」ということで機材の設営の事だと思ってパーマセルテープとかガムテといったアシスタントは必ず持ってるフルセットを持参したが撮る方の実技で驚きました。

面接は履歴書と作品をその場で広げて雑談混じりな結構フランクな感じだったので、弊社が異常なのかB社の圧が異常なのかは皆さんに任せます。
実技は「スタッフを撮る」という事で、入社後に真意を聞いてみたら
「写真の画角とかではなく、対人はどういうアプローチで撮っているか?」
というトコロを見ていたらしい。
正直、真意を知る前よりも以前から個人的な撮影のモットーは
「最初から最後まで楽しい撮影」なので対人の撮影時のアプローチは問題なかったと思う。その内に撮影は難なく終わり面接も終わった。

家に帰ってから振り返っても確かな手応えがあった。
ただ、また変に皮算用をして勝手に一人で期待してまたバカを見るのもウンザリだし、前記の通りにもう応募のストックも無いのでまな板の鯉生殺しチックなGWを送っていたのは事実だったが・・・

ところがGW明けに採用の電話連絡が掛かってきて
「━━━━━━ようやく終わった・・・。」、喜びと開放感が入り混じった複雑な感情に苛(さいな)まれたが、同時に安堵感がそれらを打ち消し、いしいの転職は最高の終わりでその幕を閉じた。

●不可能とは現状に甘んじるための言い訳に過ぎない。

ちなみに全ての応募や面接などは派遣社員を辞めてから1ヵ月以内の話で逆に言い換えれば本気で取り組めば転職であっても短期間で戦いは終わるという奇跡を起こせるんです。へへん!

「blog書きなさいな」との勧告を受けて書けるネタとして5、6年前の事を回顧しましたが我ながら波乱万丈で中身が濃ゆいなー。と・・・
もちろん5%くらい脚色した部分もありますが、残りの起こった物事は普通にノンフィクションだから困る。

でも、まぁ・・・

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                          制作・著作
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                           いしい

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