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【社会科】なぜメルカトル図法は普及したのか?世界地図の特徴を比較する。

どうも。いかたこです。
中学校で社会科の教員をしています。
noteでは、授業が楽しくなるアイデア(授業のタネ)を発信してます。

今回のテーマは、世界地図です。

世界地図と聞いて、どのような地図を思い浮かべますか?

多くの方が、画像1のような地図をイメージされるかもしれません。

画像1

このような世界地図を作る際には、メルカトル図法という手法が使われています。

※画像1はメルカトル図法で作られた世界地図の略地図です。本来の地図は、もっと細かく書かれています。

一般的な世界地図がメルカトル図法で作られたものなので、世界地図といえばこの地図という方も多いと思います。

ですが、メルカトル図法では、面積や形、距離などを正しく表すことができません。

では、なぜメルカトル図法が多くの世界地図に使われているのでしょうか?

今回は、このような疑問からそれぞれの世界地図の特徴を捉える授業です。

以下では、詳しい内容を説明しています。
よろしければ、最後までご覧ください。

目標

「なぜメルカトル図法は普及したのか?」という問いを考えることで、いろいろな種類の世界地図を比較し、それぞれの特徴を捉える。

※今回は、正距方位図法との比較を例に説明します。


地球儀と世界地図

地球の姿を最も正確に表しているのは、地球儀です。

ですが、地球儀は持ち運びに不便であるため、世界地図が作られました。

しかし、球体である地球をそのまま平面の地図に表すことはできません。

そのため、面積が正しい地図や、中心からの距離と方位が正しい地図など、使う目的に応じていろいろな地図が作られてきました。

世界地図を作る手法として有名なのが、メルカトル図法や正距方位図法です。


メルカトル図法

メルカトル図法の特徴は、地図上の縦の線(緯線)と横の線(経線)が直角に交わっているというところです。(画像1)

地図上のどこからでも目的地への方向が分かるため、海図として使用されます。

画像1


正距方位図法

正距方位図法の特徴は、中心からの距離方位が正しいというところです。(画像2・3)

目的地までの最短コースが分かるため、航空図として使用されます。

画像2
画像3

※画像2・3は正距方位図法で作られた世界地図の略地図です。本来の地図は、もっと細かく書かれています。

正距方位図法は、メルカトル図法と比べて、あまり馴染みがないかもしれません。


授業の展開

①各図法の説明

授業で扱う図法の概要を説明します。


②問いかけ

「なぜメルカトル図法は普及したのか?」と生徒に問いかけ、考える時間を作ります。


③考えの共有

問いへの生徒の考えを全体で共有します。

・全体的に整っていて、見やすいから
・地球全体を見渡すことができるから
・古い時代に発明された図法だから
・昔は海を渡って外国に行っていたから

など

ここで出た考えが、メルカトル図法や他の図法の特徴になります。


まとめ

実際、メルカトル図法はなぜ普及したのでしょうか?

自船の位置を求めるのが困難だった時代では等角航路が簡単に設定できるメルカトル図法が重宝され、広く普及した。

国土地理院 「なぜ、メルカトル図法は全世界に普及したのか?」

15世紀末から大航海時代が始まります。船が海を渡る際には、地図が必要不可欠です。そのような時代の流れの中で、1569年に航海に適したメルカトル図法が発明され、普及しました。

これが、「なぜメルカトル図法は普及したのか?」という問いへの1つの答えです。

こんなの中学生に解けるわけないじゃないか!って感じですね。(^0^;)

ですが、この授業の目標は、「なぜメルカトル図法は普及したのか?」という問いを通して各図法を比較し、その特徴を捉えることです。

なので、普及した理由が合っているかどうかに関わらず、それぞれの視点からいろいろな意見を出してみてほしいと思います。

今回は、メルカトル図法と正距方位図法を比較しましたが、モルワイデ図法など他の図法との比較にも使えます。

今回の授業のタネはここまでです。最後までご覧いただきありがとうございました。

今後も授業のタネを発信していきます。お楽しみに。


(参考資料)

国土地理院
「なぜ、メルカトル図法は全世界に普及したのか?」
(https://www.gsi.go.jp/kaiseki/RegistratedinJan19.2021/20210119Oneofthereasons_whytheMercatorprojectiobecamepopular.pdf 最終閲覧日2023年5月27日)

日本水路協会
「海図のはじまり」
(https://www.jha.or.jp/jp/jha/charts/history/index.html 最終閲覧日2023年5月27日)


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