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正解も戦略もコモディティ化する令和時代、会社は企業文化で倒産する

僕は、結構真剣に、日本の国民総幸福量を向上させたいと思っています。

どうせあと50回くらい桜を見たらあっけなく死んで天に還る身。せっかくこの人類史上稀にみる大転換期に日本という恵まれた国で生まれたのなら、自分というちっぽけな存在が、会社(トライバルメディアハウス)というレバレッジで、どこまでより良い社会づくりに貢献できるのか、チャレンジしたい。

まずこれ。

日本の生産性、47連続G7で最下位

OECD35カ国の中で21位。先進7カ国では万年最下位。こんなにみんな働いている(と思っている)のに最下位。一人が生み出している付加価値は、アメリカ人の70%しかない。

さらに、日本のサラリーマンの会社に対するエンゲージメントは、先進諸国の中で、これまた最下位レベル。みんな会社が好きではなく、仕事は辛く、つまらないものになってしまっている。

戦後10年で「もはや戦後ではない」という格言が生まれ、高度経済成長は東洋の奇跡と呼ばれ、アメリカの先進企業がこぞって日本型経営システムを学んだ1950~1980年代。バブル崩壊から失われた20年が経ち、ようやく光が見えてきて……ないのだ!

まあ、日本のサラリーマンの従業員エンゲージメントや生産性、はたまた国民総幸福量が低い理由はそれこそ要因がたくさんあって、それぞれが深く相互に関連しあっているから、簡潔に説明するのは難しいし、ここで言いたいのはそこではない。

すごく乱暴に言ってしまうと、日本のサラリーマンは「♪24時間戦えますか?!」と(良くも悪くも)家庭を顧みず会社のために人生を捧げてきた。でもそれって、「社会のため」に頑張ったというより、「会社のため」「自分の出世ため」だったのよね。「社会と会社」の順番が、文字通り、逆だった。

いまでも、就活は「就職活動」ではなく「就社活動」である、なんて揶揄されるけど、日本の寄らば大樹の陰、長いものには巻かれろ、冒険よりも安定というメンタリティは、いまに始まったことではない。

からの。

長期間に渡って、持続的に成長を続ける会社は何が強いのか。技術力やビジネスモデルも重要だけど、実はそれらの根源になっているビジョンなんじゃないの?という考え方がある。

これはもう否定しようのない事実だと思う。ビジョン、大事。

で、本題。

僕は、これからの企業の競争優位の源泉は、ミッションと企業文化になると思っている。

これは模倣困難性を示している。

製品は最も競合から真似されやすい。特に現代は各社が保有する技術力にはほとんど差がない状態。市場の未充足ニーズに、うまい製品コンセプトを当てることができれば、スマッシュヒットを生むことができる。でも、競合がすぐに真似をして市場に類似商品を投入してくるから、ブルーオーシャンは半年くらいで終わってしまう。

戦略は、目に見えるものとして世に出てこないから、製品よりは真似しにくいものの、様々なデータを収集・分析していれば、競合の戦略はうっすらと見えてくる。市場にインパクトを与えることが戦略なんだから、戦略は必ず市場に出る。だから、これも完全に隠すことはできないし、真似や対策を講じることができる。

一番、真似がしにくいのが、企業文化だ。

仮に、競合の文化が「明るく闊達」「旺盛なチャレンジ精神」「オープンコミュニケーション」「減点より加点」「多様性の尊重」「スピードはすべてに勝る」「やってみなきゃわからない」で、自社が「暗くて陰湿」「安定志向」「排他的」「減点志向」「同質的」「完璧主義」「徹底的な事前調査」「ベストプラクティス重視」だったとする。

どうやら競合の強さの秘訣は企業文化にありそうだ…!と突き止めたとき、どうにかして真似がしたいと考えたとする。予算も破格の1億円を計上した。で、真似することができるか。できるわけがない。文化はお金では買えないのだ。

単発的なヒット商品は、秀逸なアイデアやタイミングが合えば生まれることがある。単年度を戦う戦略も、優秀な戦略コンサルタントを連れてくればつくることができるかもしれない。

でも、重要なのは、単年度の勝利ではなく、持続可能な成長なのだ。

いまだかつてないスピードで変化を続ける経営環境の中で、一定の打率でヒット商品を生み出す、またはそれをヒットたらしめる戦略を練り上げ、実行していくためには、強固な企業文化がそれを支えていなければならない。

つまり、企業文化とは持続可能性の源泉なのである。

さて、ではその企業文化をつくり上げるのは何か。僕は、それが企業のミッションだと思っている。

ミッションは、なぜ我が社はこの世に存在するのかを問う出発点だ。サイモンシネックのゴールデンサークルで言えば、WHYに該当する。

ビジョンは、いつまでに、どの山の頂上に登るのかを示す時間軸付きの目的地を示すことだ。ここでも重要なのは、ミッションなきビジョンは無意味であるということである。売上がいくらになろうが、年度成長率が何%を記録しようが、ミッションが達成されなければそれはなんの意味もない。

ミッションをバックパックに背負い、山の頂上を目指す。「どうやって?(HOW)」を考え、示すのが戦略であり、それを実行する体制構築が組織戦略、経営・事業戦略と組織戦略の実現可能性を高める行動規範が、会社の大切にしたい価値観としてのバリューである。

で、文化。文化は、「あるのか?ないのか?」ではない。企業文化は、すべての企業にある。問題は、「どんな文化なのか?」ということだ。

トライバルメディアハウスのミッションは、「ソーシャルエコノミーでワクワクした未来を創る。」だ。仮に、僕がこのミッションを掲げたとき、「また社長がなんかわけのわからないことを言い出したぞ。勝手に言わしとけ」という冷めた、他律的な文化が蔓延していたら、ビジョンも、戦略も、組織も、うまく働かないだろう。

どんなに高尚なミッションやビジョンを掲げても、その実現可能性を高めるのは、その企業を包んでいる文化なのである。

市場の高度成熟化によって、あらゆる製品・サービスがコモディティ化する中、ビジョンとリーダーシップが競争優位の源泉になってきた。これからは、さらに一歩進んで、「なぜそこを目指すのか(なぜそのビジョンを実現したいのか)」を問うミッションに注目が集まるだろう。

多くの人の共感を集めるミッションを掲げ、それを実現する企業文化や社風を持った会社に人が集まり、その会社は市場でさらに光を放つ。

中で働く従業員も、我が社はなぜこの社会に存在するのか、社会にどんな価値をもたらす仕事に従事しているのか、なぜ自分は眠い目をこすりながら毎朝起き、仕事をするのかが明確だから、やりがいを持って生産性の高い仕事をし、満足度が高まる。

これからの時代、企業の持続的な競争優位の源泉は、ミッションと企業文化になるだろう。

そして、個人の幸福感も、人生のビジョン(所属する会社、役職、年収、保有したい個人資産など)と、そこに至るまでの戦略(合理的な結婚、キャリア形成、資格取得、転職)から、「自分は何のために生きているのか」「何を成したいのか(社会にどんな価値をもたらしたいのか)」「自身の強みは何か」「天職への憧れ」「家族観」などのミッション(生きることのWHY)に収斂されていく。

ということで、みんな、ミッションドリブンで生きようぜ!

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