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まだまだ完璧にはほど遠い

 先日の泊まりがけで行った夏休みのお礼と、妻に対する感謝の印として、一晩息子の面倒を見ることになった。妻は友達と夜ご飯に出かけた。もちろん、僕は完璧な親であるという自負があった。何も難しくない、と高をくくっていた。夜ご飯は離乳食、ミルクもしっかり時間通りに摂らせた。やればできるじゃないか、とちょっとした自己満足に陥っていた。

 僕が食事を取るのは少し遅れたが、ビールを手に自己満足が高まったところで、次は寝かしつけの番だ。少し時間がかかったものの息子が寝始めた。妻から帰るという連絡がきたので、「今、息子が寝たよ」と自信ありげに報告。これで完璧だ、と思った。

 しかし、僕が考えていたのは楽観的すぎた。眠りが浅いのか、息子はすぐに起きてしまった。そして、彼が起きた途端、僕の世界は一変した。泣く、暴れる、もう、言葉では表現できない。まるで僕が壊れたジュークボックスの前で、悲しみのブルースを何回も何回もリピートするような感じだ。

 僕が「親としての不甲斐なさ」をひしひしと感じているところに、妻が帰ってきた。さすがは母親、一瞬で息子は泣き止んだ。僕は完全に彼のセカンドチョイスであることを痛感した。また妻のスーパーパワーと、僕自身の無力さも痛感した。妻が息子を抱っこした瞬間、すぐに泣き止み、安心した表情で眠りについた。僕は彼女を見て、彼女の強さと僕の弱さ、そして、親としての学びがまだまだ足りないことに気づいた。

 僕は考えた。次回からはビールではなく、バーボンでも手にして、父親としての「レベルアップ」を図ろうと。そう、いつかきっと、僕が彼のファーストチョイスになる日が来るかもしれない。いつかはね。それまで、研究と修行が必要だ。バーボンのように、じっくりと時間をかけて。

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