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さるぼぼコイン:地方やコミュニティのサステナビリティにも示唆のある、「地域通貨」という自律分散型経済。(CASE: 47/100)

▲「さるぼぼコイン」とサステナビリティ

さるぼぼコインは岐阜県の飛騨地域(高山市、飛騨市、白川村)限定で利用できるデジタル地域通貨です。加盟店舗での支払いだけでなく、公共料金の支払い、個人間送金、B2Bでの送金にも対応可能と、通貨の地域内循環のために様々なサービスを提供しています。昨年12月で発行4周年を迎え、2022年1月末現在でユーザー数は約2万5千、加盟店数は1,700と、順調に地域に浸透しています。

そんなさるぼぼコインのおもしろポイント1つ目は、認知度を上げ普及させる過程で、地域を象徴するサービスとして根付いたことです。ポイント還元等を有効活用し、地域内での利用率を上げつつ、地域外からのお金の流入、注目度の向上のために地域性を活かした施策(さるぼぼコインタウン等)を展開することで、実利もあって地域を盛り上げてくれる存在として住民に愛着を持たれています。

2つ目は、決済システムを超えた地域の情報プラットフォームとして機能していることです。アプリ経由での防災・交通情報、果ては熊の出没情報の配信まで行われており、サービスが地域に根付いたからこそ、そのような行政と連携した発展が可能になっています。仕掛け人の古里氏によると、これは競争環境の激しいキャッシュレス業界で生き残っていく戦略として、当初から計画されていたようです。

最後の3つ目は、長期での普及を前提に取り組める地域のプレイヤーの存在です。さるぼぼコインの運営元は飛騨信用組合です。信用組合は地域経済と一蓮托生の側面があるため、短期の黒字化に固執するのではない、地域経済の振興という長期の視点を持ったゴール設定や計画立案、リソースの投入が可能です。

地域通貨という自律分散型の経済の仕組みは、経済に限らず、地方・コミュニティのサステナブルなあり方に有益な示唆をもたらしてくれます。
一方で地域通貨は過去にブームと衰退を経験しており、「それ自体がサステナブルでない」ことに課題を残していました。今回ご紹介したさるぼぼコインの3つのおもしろポイントは、この課題を乗り越えるための方向性を示しています。
そしてそれらは地域通貨に対してだけでなく、地方のサステナビリティ実現に関するあらゆる活動に対しても示唆がありそうです。

▲参照資料

▲キュレーション企画について

イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。

2022年のテーマは「サステナビリティ」です。

▲今回のキュレーション担当者

i.labビジネスデザイナー
鈴木斉

▲i.labについて

i.labは、東京大学i.school ディレクター陣によって2011年に創業されたイノベーショ ン創出・実現のためのイノベーション ・デザインファームです。東京大学i.school(2017年4 月 より一般社団法人i.school)が世界中のイノベーション教育機関や専門機関の知見を研究しながら独自進化させてきた理論知と、i.labが産業界で磨いてきた実践知の両輪で、企業向けにイノベーションのためのプロジェクトを企画·運営しています。

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