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カラフル

今、学科のラウンジにいるのだが、羨ましいという感情に溺れそうである。向かいの机に座る人は、まろやかだが鋭さのあるミルクティーのようなシルバーのような髪色。左側に座る人は、鮮やかでパキッとした印象を残す蛍光ピンク。

接客のアルバイトに就いたことにより、髪色に規定がある。茶色にしか染めたことがない私もいれば、毎月色が変わっていく友達もいる。どの色になってもみんな似合うから、私のしたいカラーリストは増えていく。でも、自分は似合わないかもな。あんな色にするのすごい勇気。なんてちょっぴり冷たい感想をもってしまう日もある。

「したい」が増えても規定を外れることはできない。だからか、大学生になってから、派手な色の服を好むようになった。白か黒かベージュかカーキーしか持っていなかった私のクローゼットは、青、緑、赤、黄色とカラフル。この色は似合わないと思って通り過ぎようとしたとき、振り返る。少し照れくさい気持ちで、鏡の前に向かうと、顔がパッと明るく映える。で、即購入。ということが何度かあった。気づけば、緑色の服が増えていた。友達と服を買いに行っても、これいいんじゃないと指差してくれるのは緑。

大学に入学してから、自分の基準、ものさしの短さを気付かされることが増えた。友達はいつだって肯定してくれるし、自分もなんかいいじゃんと認められるようになってきた。変わらないことは楽だし、自分が傷付かずにいられると思っていた。でも本当は、自分の個性をありのままにするために、誰もを肯定したほうが楽だし楽しい。無理に褒めるのは違うけれど、これもいいなというものを増やしていけば、「自分」の中で違うかもと避けていた「自分」に優しくなれる。


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