見出し画像

アメリカ印象派展制作中!②ウスター美術館は3時間で見られる美術の百科全書

来年(2024年)アメリカ・ウスター美術館所蔵のアメリカ印象派の展覧会「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」が開催されます。ボストンから1時間、知る人ぞ知る隠れ家的美術館、ウスター美術館の魅力をご紹介します!


▶ウスター美術館は お手頃”美術の百科全書”
3時間で5000年の美術史を総ざらい!

よく、ニューヨークのメトロポリタン美術館を指して「古今東西の人類史が詰め込まれた百科全書」という表現が使われますが、ウスター美術館(Worcester Art Museum)も、その特徴を一言で言うと、まさに「美術の百科全書」!

収蔵作品数は38,000点と、メトロポリタン美術館の200万点には遠く及ばないものの、紀元前3000~2500年のシュメール文明の小像からエジプト、ギリシア、ローマなどの古代文明、中世、イスラム、ヨーロッパ、アメリカ美術、中国、インド、日本の浮世絵コレクション、鎧・武具、21世紀の現代アートまで、幅広い時代と地域を網羅しています。一通り見るための所要時間は2、3時間(もちろん、個人差ありますが)。ヒューマンサイズなお手頃美術館。2、3時間で5000年の美術史の流れが見られるって贅沢です。

▶美術館の顔は巨大なモザイク

ビザンティン帝国時代の巨大モザイク 
Worcester Hunt Floor Mosaic (6.3m x 7.2m)

来館者を迎えるのがビザンティン帝国(東ローマ帝国)時代の巨大モザイク《ウスターの狩猟の床モザイク》(Worcester Hunt Floor Mosaic)。
6世紀初期、東ローマ帝国の避暑地として栄えた古代都市、アンティオキア(Antioch, 現トルコ南部)の邸宅の食堂の床として使われていたもので、1930年代にウスター美術館がルーヴル美術館やプリンストン大学とともに発掘しました。色とりどりの四角い大理石と石灰石を組み合わせ、大画面に狩りの様子や植物が生き生きと表現されています。

モザイク片は1辺7mm程度 リアルな描写も

▶現代アートとの融合

そしてモザイク上部の壁には大型の現代アート作品。人と技術と自然の関係を問う写真アーティスト、ロバート・パークハリソン(1968ー )と妻のシャナ(Robert and Shana ParkeHarrison)による作品です。

モザイク上部には 現代写真アーティストの作品

床のモザイクにインスパイアされて制作したもので、デフォーカスされたモザイクの上には狩りの獲物の血が流れ、手前には魚、ざくろ、ワイングラス。横たわる女性の腕に巻き付いた真珠のネックレスは孔雀の羽に結ばれています。想像を駆り立てるこの作品は狩猟の残忍性、ローマ帝国の豊かさと過剰な消費、その退廃と滅亡の歴史を写真で蘇らせ、時代を超えて繰り返される人間の営みを今に問いかけています。

ウスター美術館では館内の様々なスペースを使ってこうした現代アートとのコラボレーションを行なっていて、「変化し、進化し続ける美術館」を目指しているのです。

▶異分野の作品の組み合わせで時代を俯瞰する

絵画作品と彫刻のダイアローグ

また特徴的なのは絵画と彫刻、絵画と同時代の甲冑など展示室のテーマや作品の時代に合わせて異なる分野の作品を組み合わせて展示していることです。これも幅広い地域と時代をカバーしている美術館ならでは。鑑賞者は作品を単体で観るよりも複合的に時代やテーマについて考えさせられ、世界の美術史を時代に沿って理解できるようになっています。世界史と日本史の年表を同時にとらえると世界の流れがよくわかる、というのとちょっと似ているかもしれません。

甲冑・武具のコレクションはメトロポリタンに次ぐ規模

来年(2024年)1月から開催の展覧会「印象派 モネからアメリカへ」では、ウスター美術館のアメリカ印象派の傑作群が初めて来日します。
展覧会制作話を随時発信していきます。お楽しみに!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?