見出し画像

rakugaki_58「美術館へ行こう!【京都編】京都市美術館(後編)」


京都市美術館(現:京都市京セラ美術館)

私の現存する記録の中で、現在まで「京都市美術館」の企画展に出かけたのは14回です。
これは今まで鑑賞してきた「京都市美術館」の感想ブログ(後編)となります。


8)2014年9/30-11/30「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」

ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展

この美術展は9月15日まで、世田谷美術館で開催していたものです。
その月の30日から京都市美術館に巡回してきた美術展も、今月の30日で終了。
そろそろ観に行かねばと、紅葉の京都に出かけました。

19世紀後半から20世紀初頭にかけて,西洋では浮世絵をはじめとする日本美術が大流行し,ジャポニスムという現象が生まれました。
本展は,初期ジャポニスムを代表するモネの大作《ラ・ジャポネーズ》をはじめ,ボストン美術館の所蔵品より厳選された絵画,版画,素描,写真,工芸など約150点を紹介しています。

ほぼ、目玉作品の「ラ・ジャポネーズ」推しで、その他は浮世絵とその影響を受けた西洋絵画や工芸品の展示って感じですね。
「ラ・ジャポネーズ」の修復プロジェクトの過程もコーナーとしてあり、そのコーナーを抜けると割と早い段階で目玉作品の「ラ・ジャポネーズ」が展示されています。
想像していたより大きい!絵は2m以上あり、描かれている女性はほぼ人の原寸ぐらい。
着物を着て扇子を持って舞っている、艶やかな西洋女性が現れます。
モネのぼやけた美しい睡蓮の絵とは違って、しっかり着物の柄まで描きこまれた、濃厚でくっきりな絵画でした。
モネの絵と意識していないと、ついつい美人画得意のルノワールの絵かと勘違いしそう。
あと絵がガラス張りなので、ガラスに照明が反射しているのが惜しい!
角度によっては反射して見ずらいのですが、そこまで混んでいないので、ベストポジションで観られたのが有り難かったです。
いや、やはり艶やか!日本人から見ても、着物と金髪の女性のアンバランス差が尚更、オリエンタルに感じて美しく感じる絵でした。

鑑賞後、たまには違う場所でランチとも思ったのですが、早く落ち着いて感傷に浸りたいと、結局いつものお蕎麦屋さん(有喜屋)で、十割そばと冷酒を頂きながら、美術展の感傷に浸りました。
本展は今月の30日に終了後、来年の1月2日より名古屋ボストン美術館に巡回予定らしいです。


9)2015年6/16-9/27「ルーブル美術館展 日常を描くー風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」

ルーブル美術館展 日常を描くー風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄

最近は仕事に追われ休日出勤もあり~ので、仕事に忙殺される日々でした。
いや~、今回は意地でも、夏休みに突入して混雑する前に美術鑑賞に出かけるぞと決意しました。

本展は、今月の初めまで国立新美術館で開催していたものが、京都市美術館に巡回してきたものです。
ルネサンスが最後の花を咲かせた16世紀初頭から、現実に目を向けるレアリスムが勃興した19世紀半ばまで、約3世紀半にわたるヨーロッパ風俗画の多様な展開を、約80点の名画によって紹介するものです。
また、17世紀オランダを代表する画家フェルメールの円熟期の傑作、「天文学者」が待望の初来日とのこと。
ルーヴル美術館に所蔵されるフェルメール作品は2009年に来日を果たした「レースを編む女」と、「天文学者」の2点のみらしいです。
「レースを編む女」を目玉作品とした、「ルーヴル美術館 -17世紀ヨーロッパ絵画-」を同じく京都市美術館で鑑賞しました。
で、もう一方の「天文学者」。
観た憶えがあるなぁと思っていたら、それは2011年8月に豊田市美術館で観た「シュテーデル美術館所蔵 フェルメール≪地理学者≫とオランダ・フランドル絵画展」で観た「地理学者」で、学者違いでしたね。
「天文学者」は、ルーヴルを離れることがきわめて稀な作品のひとつで、本展は、この貴重なフェルメール作品を日本で堪能できる、またとない機会とのことです。

う~、俄然楽しみになってきましたね。 流石、ルーブル美術館展、何処かで観た覚えがある名画がちらりほらり。
全体的には甘め、ロココ調のものが目立ちました。
会期はじめの土曜日なので、混んでいるかと思いきや、苦になる程ではありません。
目玉作品の「天文学者」も前面で鑑賞することが出来ました。
いや、やはりこれだけの作品が展示されていても、ピカイチにいいですね、フェルメール。

あと、私が気に入ったのはことごとく「ジャン=バティスト・カミーユ・コロー」の絵でした。
3点あったのですが、いいなと思ったら全てコローの絵(笑)
「水汲み場のブルターニュの女たち」「身づくろいをする若い娘」「コローのアトリエ」の3点です。


10)2015年7/11-10/12「マグリット展」

マグリット展

こちらの美術展は、先月末まで国立新美術館で開催していたのが巡回してきたものです。
先月に鑑賞した「ルーブル美術館展」に続いて、またまた京都市美術館にやって来ました。
台風で酷い土砂降りとなった金曜日から、今だに天気がスッキリしない日曜日。
お出かけ日和とは言えませんが、何時までも閉じこもってばかりはいられないので、折りたたみ傘を持参して美術鑑賞に出かけました。

京都に着いて雨の心配もしましたがどうしてどうして、真夏日ですよ。

東京では13年ぶり、京都では44年ぶりの本格的な回顧展となる「マグリット展」は、ベルギー王立美術館とマグリット財団の協力を得て、代表作約130点を展示。
初期から晩年まで、画家の思想や創造の過程をたどり、マグリット芸術の謎の魅力を堪能するものです。

マグリットと言えば「9月16日」は東京オペラシティアートギャラリーで拝見済み。
なのでマグリットはそのイメージでした。
しかし、マグリットっていろんな絵画手法で描かれていたんですね。
中には、え?これがマグリット?っていう絵も。
早くから商業的な絵画、ポスターなどもやられていただけあって、大衆が何をすればどう喜ぶのか、分かっている感じがします。
でも、それでいて、そんなに受け入れられていた訳ではなく、だからこそ、いろんな手法を試されていたんですね。

私が気に入ったのは「光の帝国Ⅱ」という作品。
空は昼だけど、街は夜というパラレルワールドのような世界。
ちょっとした食い違いの世界。
空は明るいのに、建物は暗く街灯の周りだけがほんのり明るい。
そんな微妙に変わった異次元世界。

図録とこの絵のボストカードを購入しました。


11)2016年1/14-2/14「琳派400記念 -琳派降臨-近世・近代・現代の「琳派コード」を巡って」

琳派400記念 -琳派降臨-近世・近代・現代の「琳派コード」を巡って

さあ、琳派400年を記念する展覧会はこれで最後だそう。
桃山時代後期に京都に誕生する「琳派」は、その後各時代の美術や工芸の中で、降臨するかのごとく新たな継承と創造を繰り返してきたそうです。

本展は、日本人の美意識のDNAに組み込まれた琳派の美のコードを探りながら、本展覧会は近世・近代・現代における「琳派コード」を「自然」「都市」「抽象」の観点から考えるものだそうです。

琳派400年記念で出掛けるのはこれで2回目。
私にとって、洋画以外では極めて珍しい鑑賞かも知れません。
日本人の美意識のDNAに組み込まれた琳派の美のコード?
そんなものが果たしてあるのかどうか?

京都市美術館に鑑賞しに出かけました。

掛軸、工芸品、屏風などが展示されています。
琳派って、これが琳派って言えるものがないような気がします。
極めて自由奔放。
代表的なのは、金をベースに植物の絵みたいな感じですが、それだけではなく、人物画みたいなのもありますし、必ずしも金がベースにある訳でもありませんし。

一番驚いたのは、最後のコーナーが現代画だったこと。
金のベースにディズニーのキャラクターのコスチュームが散りばめられている絵とかがありました。
え? 琳派って現在も存在していたの!?
帰ってから出品リストを見ていたら、以下の文章を見つけました。
『ここで紹介する作品たちは、現代において「琳派」と称されている作品ではありませんが、結果として現在において「RINPAコード」を作品に秘めていると思われる作品を、本章ではセレクトしてみました』

結局、琳派違うんか~い!
勘違いしたままじゃなくて良かったです。


12)2016年3/1-5/8 「マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展 「印象、日の出」から「睡蓮」まで」

マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展 「印象、日の出」から「睡蓮」まで

この美術展は、昨年の9月19日から東京都美術館、福岡市美術館を経て京都市美術館に巡回してきたものです。
実はこの美術展のことをすっかり忘れていたのですが、昨日ふとこの美術展のビラが目に入り、3連休の最終日は本当ならのんびり過ごしたいところですが、急遽出掛けることになりました。
その理由というのは、この美術展の会期は5月8日まであるので本来なら焦って出掛ける必要は無いのですが、タイトルのサブコピーにも入っている目玉作品の一つ、東京には21年振り、福岡には初めて、京都には33年振りとなる「印象、日の出」が3月21日までの期間限定展示だったんです。
そう、今日までだったんですね!
それを昨日気づいて急遽、本日に美術鑑賞へ出掛けることとなりました。

クロード・モネは生前に成功した画家で、晩年のものを中心に多くの作品を最期まで手元に残したそうです。
これらは息子のミシェルが相続しましたが、その後、ミシェルの遺志でマルモッタン美術館に遺贈されました。
その数およそ150点。
モネが晩年に何度も取り組んだ「睡蓮」や「日本の橋」だけでなく、10代後半で描いたカリカチュア(風刺画)や30代から40代の風景画も含まれ、モネの画業を辿ることができる画家本人によるプライベート・コレクションと言えるものだそうです。
この特別な作品群を譲り受け、マルモッタン美術館は、「マルモッタン・モネ美術館」と名称を変えたんだそうです。

本展では、このモネ・コレクションから選りすぐりの約90点を展示。
うち約7割がモネ自身の手によるもので、他にはモネ自身が収集した作品やモネ愛用の品も紹介されるみたいです。

京都市美術館の開館時間が9時。 着いたのが9時30分。
で、さすが「印象、日の出」展示の最終日、当日券を買うのに20分待ちの列が出来ていました。
入ってみると凄い混雑! 人、人、人で、溢れかえっています。
実は19日から、同じ京都市美術館内でルノワール展も始まっているんですね。
相乗効果と3連休の最終日と「印象、日の出」展示の最終日が相まっての混雑振り。
最前列で観るのは諦めて、遠目で観て周りました。

若い頃のモネの、風刺画みたいなデフォルメのあるイラストは初めて観ました。
こんな漫画みたいな誇張した絵も描くんだと、ちょっとびっくり。
本日で展示終了の「印象、日の出」は、最前列は歩きながらの鑑賞に規制されていました。
そこはやはり行列が出来ています。
私は少し離れて、立ち止まった鑑賞を選びました。
スポットライトのせいか、絵自体なのか、絵がキラキラと輝いて見えました。
やはり目玉作品だけはありますよね。 とても素敵で綺麗な絵でした。
もう一つの目玉作品である「睡蓮」は、規制されずに普通に展示されていました。
ちょっと全てが遠目の鑑賞過ぎて物足りなかったので、人混みを掻き分けてスタート地点に戻ってもう一周しました。
すると・・・更に人混みが増えていました(笑)
それでも2周目で気づくことも多かったり、「睡蓮」は最前列で観ることが出来ました。

ショップでは何か買おうかと思い、「印象、日の出」と「睡蓮」のポストカードを手に取りました。
で、ショップのレジを見ると長蛇の列が!
思わず、手に取ったポストカードを元の場所に戻しましたよ。
いや~、この3連休はよく並びました。

この美術展は5月8日まで開催した後、6月4日から開催する新潟県立美術館に巡回する予定です。


13)2016年3/19-6/5 「光紡ぐ肌のルノワール展」

光紡ぐ肌のルノワール展

今日は4月にしては暑いぐらいの天気でした。
何故だか、いつもより人が多いと感じられる今日の京都。
お花見シーズンもこれで最後だからでしょうか?
各国からの観光客で溢れかえっています。
観光客と観光客の間をすり抜け、京都市美術館に向かいます。

フランス印象派を代表する画家の一人、ピエール=オーギュスト・ルノワールは、人物画、特に女性や子供たちを好んで描いたことで知られています。
ルノワールが描く女性たちは、支援者や友人の夫人や子供、女優、街でみかけた見知らぬ女性など、年齢や社会的地位も様々です。
彼女たちは時にはポーズをとって、時には日常生活の一場面としてその姿を残しています。
“人生は長く終わりのない休暇である”というルノワールの言葉が示すように、自分が目にしたものの中に人生の美しさと幸せを見つけて表現してきました。
本展は、女性たちの透明な肌、色鮮やかな頬と唇など、ルノワールの描く光溢れる美を堪能するものだそうです。

う~ん、案外というか、かなりあっさりした美術展でした。え?もう終わり?っていう感じ。
最初に展示されていた「かぎ針編みをする少女」と、目玉作品である日本初公開の「昼食後」が私好みで秀逸だった気がします。
「うちわを持つ女」は何回かお目にかかっていますね。
「草原で花を摘む少女たち」や「猫を抱く女」も可愛らしかったです。
ただ、余り印象に残る絵も特にはなく、今回は何も購入せずに帰宅する事にしました。

それにしても京都、人が多過ぎ!その内に日本人より、海外からの観光客の方が多いという状態になりそう。
ま、観光立国を目指しているんだからインバウンド政策、成功しているんでしょうけど。


14)2016年7/1-9/4 「ダリ展」

ダリ展

ダリ単体の美術展は、1986年に「妻ガラに捧げる ダリ 愛の宝飾展」をミナミ美術館に観に行って以来です。
ミナミ美術館とは、かつて秋葉原にあった美術館なんですよ。
もはやこの、かつて秋葉原にあった美術館の存在を知る人も、多くはいないんでしょうね。
そして今回は京都市美術館になります。

20世紀のスペインを代表する芸術家サルバドール・ダリは,刺激的で見るものを魅了するイメージを次々と生み出し,それらを精緻で写実的な描法で描き出してきました。
本展は,スペインのガラ=サルバドール・ダリ財団および国立ソフィア王妃芸術センター,アメリカのサルバドール・ダリ美術館という三つのダリの主要コレクションの作品を中心に約200点で構成される。油彩作品のほか,ドローイング,オブジェ,ジュエリー,書籍,彫刻など様々な表現媒体で展開された初期から晩年までのダリの多方面にわたる創作の軌跡をたどるものだそうです。

入って直ぐに撮影スポットが用意されています。 巨大な騙し絵の顔のオブジェですね! その前に巨大な鏡が用意されていて、自撮りができるようになっています。

騙し絵のオブジェ

さて、いよいよ会場内に入ると想像以上に人が入っていますね。
3連休の初日だから仕方がないのかも知れません。

長いドラキュラみたいな髭に奇抜な振る舞い。
それも変人というより、ダリのセルフ・プロデュースだったことは何かで知りました。
そして世間的にも成功された画家でした。
日本人でいったら岡本太郎さんのイメージなんでしょうね。

さて、ダリの10代ぐらいの初期の作品から、後期までぐるりと会場内を観て周ります。
前面で鑑賞できなかった作品もあったので、また入口まで戻ってもう一度ぐるりと会場内を周ります。
それでも何だかダリのことが腑に落ちなかったので、会場入口までまた戻って結局音声ガイドを借りました。
音声ガイドは竹中直人さん。 小芝居をしながら、作品を紹介されていました(笑)
で、また音声ガイドのある作品を中心に周ったのですが、基本キャプションに書かれていることが中心で、後は竹中直人さんのいらない小芝居だったりして(笑)

いいなと思えた作品は「ラファエロの聖母の最高速度」。
ラファエロの聖母が電子?原子?の配列の中に見え隠れしているんですね。あと「ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌」。
広島、長崎への原爆投下を受けて描かれた絵らしいのですが、全体的に黒く重たく、ダリの原子爆弾への憂いが表現さていました。
今回、ポスターにも起用された「素早く動いている静物」なんかも面白いですよね。 だって「静物」が素早く動いているんですから!(笑)

などなど、いいなと思える作品もいくつかあったのですが、う~ん、今回は図録はなしでもいいかなと。
グッズ売場では何も買わずに美術館を後にしました。
こちらの美術展は9月4日まで京都市美術館で開催され、その後9月14日より国立新美術館に巡回されるそうです。


以上、京都市美術館は2020年3月21日のリニューアルオープンに伴い、2019年から「京都市京セラ美術館」と呼称を変えています。
京都観光に行かれた際は、是非こちらの美術館に立ち寄られればと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?