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デザイナーが面白い戦略ストーリーを語れるか?

ストーリーの戦略論は、改めて戦略づくりの面白さに光を当てるものです。ストーリーを構想し、組み立てるということは、そもそも創造的で楽しい仕事のはずです。

にもかかわらず、「中期経営計画」という名分のもとに、難しい目標設定を与えられ、眉間にしわを寄せた渋い顔で「戦略」を考え(させられ)ている人が多過ぎるように思います。戦略は「嫌々考える」ものではありません。

まずは自分自身が面白くて仕方がない、これが絶対の条件です。そのことを考えていると時間が経つのを忘れてしまうほど心底面白いことであれば、いくらでもエネルギーを投入できます。努力が苦痛になりません。多少忙しくとも、ストーリーづくりは自然と前に進んでいきます。

楠木 建. ストーリーとしての競争戦略

ストーリーとしての競争戦略を名著と名高いだけあって、本当に面白く最初から最後まで読みきりました。

ストーリーとしての競争戦略の中ででもっとも重要な視点は「賢者の盲点(クリティカル・コア)」でしょう。
普通に考えると「非合理でしかないアイデア」が実は戦略ストーリ全体の中から見ると「合理的なアイデア」であるというのが、クリティカル・コアの簡単な説明です。

クリティカル・コアのすごさは、持続的な競争優位性の高さを保つことにあります。一見非合理だらから誰も模倣しない(もしくはできない)が、クリティカル・コアを除いた戦略だけを模倣すると自滅するという恐ろしい理論になっています。

いま企業において、ミッション・ビジョン・バリューやコンセプトを発表し重要性が認知されています。しかし、実は伸びている企業はその裏でクリティカル・コアを潜ませている可能性がありますよね。もう11年前の本ですし。
競合他社に対して戦略はオープンだとしても、クリティカル・コアを発表する企業はいないでしょう。

デザイナーが戦略から語れるか

ストーリーとしての競争戦略で書かれている通り、本来戦略を組み立てることは創造的で楽しい行為です。

  • 経営の最終目的は「持続的利益」である

  • 最終的な競争優位は「顧客への価値優位」or「コスト優位」のどちらか

  • 経営戦略は「ポジショニングと組織能力」の二段構え

  • 競争優位の「Why」に答えることが戦略ストーリーになる

  • コンセプトが起点となって戦略ストーリーに一貫性を持たせる

  • クリティカル・コアがブランドの独自性になる

などのベースの経営戦略の視点を掴んだ上で、その戦略をマネジメント・コンテンツ・コミュニケーションの3層に一貫して「伝える」ためにブランドを構築していくことが重要です。

  • デザインでブランドを具現化する

  • コンセプトからブレないトータルデザインを仕組み化する

  • デザインのメンテナンスによってブランドを成長させる

ことがデザイナーに求められます。

事業会社のミドルデザイナー以上なら、戦略ストーリーからそれを具現化するブランド・プロダクト・コミュニケーションデザインまで、一貫して面白く語れる必要がありますね。

参考図書

ストーリーとしての競争戦略はなかなか骨太本なので、本を読むことが苦手ならブランディングデザインの教科書から読むといいかも。


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