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インハウスデザイナーに、ほんとうにあった怖い話

2023年6月のクックパッドによるリストラが話題になりました。
2023年3度目のこのリストラは、デザイナーやエンジニアも大量にリストラされています。

リストラとレイオフは整理解雇と呼ばれる種類になります。ちなみに、最近海外でよく聞くレイオフとリストラの違いは以下です。

#リストラ
リストラは、組織の再構築を目的として、人員を削減するために行われるものです。解雇された従業員は、基本的に企業に再雇用されることはありません。

#レイオフ
一方、レイオフは再雇用を前提として、一時的に行われる人員削減を指します。企業経営において最もコストがかかるのは人件費のため、経営がうまくいかなくなったときに従業員を一時解雇し、一定期間だけコストカットを行うのです。経営が安定してきたら、レイオフした従業員は再雇用されます。これにより、人件費の削減だけでなくスキルやノウハウを持った従業員が他社へ流出するのを防ぐ効果があります。

https://www.cydas.com/peoplelabo/wil_layoff_tigai/

整理解雇はクックパッド以外でも日常的に行われています。
特にデザイナーは成果を数値で表すことが難しいため、営業やマーケターに比べて整理解雇の対象になりやすいです。

この記事では私の知り合いデザイナー二人の実際に会った「ほぼ解雇」の物語をぼかしながら語りつつ、回避することは可能なのか?を検討していきます。

1人目:シニアデザイナーが突然「営業」に

ある有名な食品ベンチャーに転職した40代の優秀なシニアデザイナー
転職してデザイン組織のマネージャーとして、ブランディングやコミュニケーションデザインを担当していました。

転職から1年経過したある日、突然デザイン部のトップに呼び出されます。
トップ:「来月からデザイン部は解散。デザイナーは全員、営業職になります。
シニアデザイナー:「・・・」

結果、デザイン部のトップ以外のデザイナーは全員退職しました。

2人目:創業メンバーのトップデザイナーが突然「平社員」に

こちらもある有名なインテリアベンチャーに創業から参加していた30代のデザイナー。数年後にはデザインのトップとしてすべての権限を持ち、ブランディングから採用、プロダクトデザインまで幅広く担当していました。

すさまじい努力と幸運によって上場したある日、突然Slackで人事通知が全社員に発表されました。
人事通知:「トップの権限は剥奪。あなたはデザインメンバーの一人になります。ブランディングはマーケティング部に委譲します。
トップデザイナー:「・・・」

結果、このデザイナーはなんやかんやあったのちに退職しました。

なにが起きているのか?

クックパッドを含めて、この3社の共通していることは

  • ベンチャー企業である

  • 上場している

  • 上場からずっと純利益が赤字

の3点です。

アメリカの金利上昇による経済の不透明感によって、市場は今なお厳しい状況が続いています。そのため、ベンチャー企業は2、3年前のような赤字垂れ流しには出来ず、早い段階での黒字化を求められることになりました。

上場している赤字企業のCEOは、上場前に投資したVCや投資家からすさまじいプレッシャーを受けています。

CEOは早く黒字化したい。
営業やマーケターわかりやすく短期的な数値を出せます。
しかし、デザイナーは顧客体験の良さを短期的なMRRやKPIのような数値で証明することは困難です。

切羽詰まったCEOからはデザイナーはお荷物に見えるでしょう。
そして、この二人のデザイナーから見えてくる示唆は
リストラを実行せずに実質的な「解雇」が可能だということです。

デザイナーはどうするべきか?

Appleは短期的な数値目標ではなく「ただ最高の顧客体験を作ること」を目標として追求しているみたいですが、これを日本の(USに比べると)小さなベンチャーに求めるのは無理でしょう。

ベストな解決策は「売上は全てを癒す」という格言の通り、できる限り早めに黒字化する。もしくは、黒字の企業に転職する。
なのですが、これだとあまりにも元も子もないのでデザイン組織の観点と、デザイナー個人としての観点の2つの視点から考察します。

デザイン組織としてどうするべきか?

大きく3点くらいあるかなと思います。

  1. 大前提、デザイナー全員が売上の意識を持つ

  2. デザイン組織のトップが、PdMのトップまたはマーケティングのトップを兼任する

  3. デザインカルチャーをトップダウンとボトムアップ両方から推進する

1はまぁ当たり前ですね。短期的な売上と長期的な顧客体験のバランス感覚がインハウスデザイナーには求められます。

2が一番重要だと思っています。デザインの価値は数値化できないですが、プロダクトのMRRやマーケティングのKPIと組み合わせることは可能です。デザイン組織として受け身にならず、プロダクトマネージメントやマーケティングに越境することがトップやシニアデザイナーには必要です。

3はCEOを巻き込んで、創業初期から長期的に計画、実施、評価を回してデザインカルチャーを耕していくことが大切です。カルチャーは事業フェーズや組織の拡大に応じて常に変化し衰退していきます。初期フェーズから全社員を巻き込んでデザインカルチャーを推進していくことが、ブランドの価値を高めていく大きな要素になります。

デザイナー個人としてどうするべきか?

会社に依存しないスキルと人脈作りをしておく」の一言につきるかなと。ベンチャーに行くならいつリストラされても困らない、スキルと経験を積む覚悟が必要です。

  • 積極的にイベントに出て社外の情報をキャッチアップしていく

  • 副業などで会社に依存しない仕組みをつくる

  • 経営やマネージメント、マーケティングなど幅広いスキルを磨く

以上を日々積み重ねておけば、何が起こってもまぁなんとかなるでしょう。実際、上記二人のデザイナーは退職後にデザイン会社を創業したり、デザイン顧問として活躍したりしています。

ベンチャーの5年後の生存率はたった15%です。
85%のリスクとメリットをよく考えて転職を考えましょう。

最後に

とはいっても、初期ベンチャーのインハウスデザイナー経験はデザイナーとして貴重な体験になります。リスクを受け入れて楽しめるデザイナーなら、思い切って挑戦すると業界の中で希少人材になれる可能性があります。

デザイナーのキラキラ話は表に出てきますが、ドロドロな闇の話はどうしてもネットには出てきません。しかし、もっと怖い話を積極的に発表していった方が、リスクを考慮できていないデザイナーたちを減らしていけるかもしれません。

まだまだ、この二人のデザイナー以外にも怖い話はたくさんあると思います。もし我こそは!みたいな体験談があったら、インハウスデザイナーの怖い話オフ会したいですね。

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