【米国株投資】AAPL / CVS:アップルとCVSヘルスの比較
みなさん、こんにちは!インベストリンゴです!
こちらの✉️ニュースレターでは、🚀ローンチに先立ち、日々、当社米株アナリスト、並びに、彼らの最新のコンテンツを紹介していきます。
本日のアナリストは、🇪🇸スペインを拠点に活動しているジェームズ・フォード氏です。
自己紹介
フォード氏は、エコノミストとして、過去10年に渡り、世界市場の分析に携わってきました。自らを「実践的な投資家」と位置付け、資産を継続的に維持・拡大させることを目的とした、分散されたポートフォリオを構築することに重点を置いています。
主に、「グローバル・マクロ」、「ハイテク銘柄」、「コモディティ銘柄」、「暗号通貨関連銘柄」に焦点を当て、ファンダメンタル分析、並びに、テクニカル分析を用いて企業分析を行っています。
最新のレポート紹介
「AAPL / CVS:アップルとCVSヘルスの比較」
Ticker: AAPL・CVS / 3971文字 / 所要時間8分程度 / AAPL Sell / CVS Buy / ジェームズ・フォード
サマリー
当レポートでは、割高なバリュー株であるアップルとCVSヘルスを比較しており、この2つの銘柄には多くの共通点がある
CVSヘルスは、アップルと財務内容も成長見通しも似ているが、遥かに割安である
以上より、個人的には、アップルを売り目線で見ているのに対し、CVS買い目線で見ている
概要
アップル(AAPL)は、ウォール街で最も注目され、好まれている銘柄の一つである。
しかし、最新の決算を受けて、株価は売られる展開となった。
足元、業績と収益の伸びは鈍化しており、中国でのリスクも高まっている。
また、今では、アップルは成長株とは呼べず、バリュー株だとすれば著しく割高である。
アップルに関する前回の記事において、私は、ARヘッドセットを市場に投入することの難しさについて語り、同社を中立評価とした。
そして、今日は、アップルをCVSヘルス(CVS)と比較したい。
これらの企業は全く異なるビジネスを展開しているが、多くの類似点もある。
結局のところ、同じような収益成長が予測されているにもかかわらず、なぜ、一方の株が他方の株の3倍以上の利益倍率で取引されているのだろうか?
ノイズを取り除き、ファンダメンタルズにこだわれば、勝敗は明らかである。
収益と貸借対照表
アップルは携帯電話を販売し、CVSヘルスはヘルスケアサービスを提供しており、表面上では全く異なる2つの企業であるが、他の面では非常によく似た側面を持っている。
アップルとCVヘルスによる提出書類を基に筆者作成
CVSヘルスもアップルも、売上高の規模間は非常に似ており、EPSもかなり似ている。
しかし、最大の違いはEBITDAである。
更に、CVSヘルスの従業員数はアップルの約2倍程度である。
貸借対照表に関しても類似点がある。
アップルとCVヘルスによる提出書類を基に筆者作成
両社共に、長期負債資本比率は50~60%程度であり、流動比率も同程度である。
しかし、アップルの方が、純有利子負債がマイナスで、カバード・レシオがほぼ30と、財務体質がかなり強いことが分かる。
成長と収益性
意外に思われるかもしれないが、CVSヘルスとアップルは、成長という点では同様の業績を上げており、どちらかといえば、CVSヘルスの方が見通しが良いように思われる。
アップルとCVヘルスによる提出書類を基に筆者作成
アップルの収益が減少しているのに対して、CVSヘルスは、今年10%以上成長し、かなり良い業績を上げている。
過去3年間で、アップルの収益は11.77%成長し、CVSヘルスは9.32%成長した。
しかし、CVSヘルスの方が将来の収益成長率は高い。
とはいえ、アップルの方が収益性が高く、EBITとフリー・キャッシュ・フロー・マージンが遥かに大きいことが分かる。
更に、収益性の向上は、EPS成長率の大幅な上昇につながっている。
実際に、過去3年間で、アップルのEPSは23.18%増加したのに対し、CVSは2.59%しか増加していない。
今後の見通し
過去5年間、アップルは継続的に収益を伸ばし、投資家に報いることで、より良いパフォーマンスを提供してきたが、今後はそうではないかもしれない。
上図は、市場のアナリストによる、CVSヘルスの予想EPS、下図はアップルの予想EPSを示したものである。
また、今後4年間で、CVSヘルスの収益は、8.57ドルから10.35ドルへ、10%強の成長が見込まれる。
一方、アップルの収益は、約36%成長すると予想されている。
目先の業績では、アップルの方がまだ少し良さそうだが、2032年まで見てみると、両社ともEPSは倍増すると予測されている。
CVSヘルスのEPSは8.57ドルから16.35ドルに、アップルは6.53ドルから12.99ドルになる。
今後10年間の見通しはかなり似ているように見えるが、長期的なターゲットの信頼性が低いことは言っておく価値がある。
業界の成長に関して、マッキンゼーは、2026年まで、米国のヘルスケアが年平均成長率4%で成長すると予測している。
一方、Statistaは、2023年から2028年までの家電製品の年平均成長率を2.27%と予測している。
どちらも高成長市場ではないが、どちらかといえば、ヘルスケア市場の方が、今後は少し良さそうに見える。
とはいえ、アップルには、サービス事業など他の成長手段もある。
いずれにせよ、これらのことは、上述のアナリスト予想に反映されているはずである。
バリュエーション
両社にはこれだけの共通点があるにもかかわらず、バリュエーション(株価倍率)の圧倒的な差には驚かされる。
アップルとCVヘルスによる提出書類を基に筆者作成
CVSヘルスのPERが8.16であるのに対し、アップルは28.8以上のPERで取引されている。
アップルの株価キャッシュフロー倍率は、CVSヘルスの6.4に対し、ほぼ25であり、更に、アップルのEV/EBITDA倍率は、CVSヘルスのほぼ3倍である。
どう考えても、アップルはCVSより割高である。
理由は幾つか考えられるが、果たして、この格差を正当化するのに十分な理由であろうか?
アップル・バリュエーション(Source:Alphaspread)
CVSヘルス・バリュエーション(Source:Alphaspread)
Alphaspreadによると、アップルの価格は、本質的価値より23%程高い。
これはDCFと相対評価を考慮したものである。
一方で、CVSヘルスは、本質的価値より約56%低く取引されている。
興味深いことに、アップルの株価とこの価値指標との相関は92%である。
故に、株価はここから下落する可能性があると見ている。
しかし、CVSヘルスは、本質的価値よりかなり低い価格で取引される傾向があり、価格とこの価値指標との相関は56%に過ぎない。
リスクとその他の考慮すべき点
アップルの高いバリュエーションが正当化されると主張する人は多いだろうし、株価はプレミアムに値するかもしれないが、この主張は刻々と弱くなってきている。
現段階では、アップルはあまりにも大きく成熟しすぎており、大幅な収益成長を実現することは難しい。
更に、スマートフォン市場は飽和状態にあり、何よりも中国が大きな逆風になる可能性がある。
中国での売上は、前四半期に減少しており、特に地政学的状況が改善しなければ、この傾向は続く可能性がある。
一方、CVSヘルスは非常に安定した企業である。
ヘルスケアでは爆発的な成長は望めないかもしれないが、地政学的なリスクはなく、今後10年間は、エクスポージャーを持つ上で、素晴らしいセクターであることは間違いない。
そして勝者は・・・
アップルとCVSヘルスでは、奇妙な比較にはなるが、アップル株が過大評価されていることを示す一助になると思う。
両社とも有名企業であり、収益面では、共に、一定の成長が期待できる態勢が整っている。
しかし、より多くの成長シナリオがあるかもしれないが、アップルのバリュエーションは遥かに割高であり、足元のアップルを取り巻く環境・トレンドは、このような割高なバリュエーションをサポートしていないように見える。
結論としては、投資家は、CVSヘルスのような、より良いバリュエーションの銘柄を買う方が良いだろうと見ている。
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