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めくるめく統計地図(カルトグラム)の世界

図書館の新刊コーナーにあった『地図で見るフランスハンドブック』がめちゃくちゃ面白かった。これは、人口分布を加味して面積を補正する「統計地図(カルトグラム)」という技法を駆使して、地図から政治勢力の分布、貧困、産業構造までなんでも可視化しちゃうぞという意欲的なシリーズだ。フランスはあんまり馴染みがないので、同シリーズの「バルカン半島」と「アラブ世界」を早速注文した。(一般的には中国、インド、アメリカ、東南アジア辺りをオススメ)

多くの図版は、オリジナルがWikipedia / WikiCommonsに上がっている。たとえば下記は、2015年フランス大統領選挙の「白票」の比率分布というテーマで、中央上の薄いところがパリ大都市圏、その周縁の黒い帯が都市を支える地方部のエリア。この本全体を通じて、パリを囲む「都市周辺部(périurbain)」の出現と、都市vs地方の断絶について説明が続く。

この少し歪んだフランス地図を何枚も何枚も続けてみていくと、自然と共通点や相違点があぶり出されてくる。多くの地図の色分布が似てくるのだが、濃淡のコントラストや、都市間の性格の違いもあり、一筋縄ではいかない。

世界史の資料集を眺めるの、好きだったなあ。ここ数年はカルトグラムを作るアルゴリズムの進化もあって、高精度な地図が作りやすくなっているそう。いろいろな地図を見て、世界のいまを頭に入れていきたい。フランスという国も、少し身近になった。


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