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コラム_僕が動物の「ブサイクなすがた」を撮りたい理由

こんにちは!森から庭まで、まちの色んなところで自然ガイドをしている、おおくまですm(_ _)m

noteでは自然ガイドのしごと内容の紹介や、さんぽが楽しくなる自然観察のコツなどをご紹介しています。
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自然が好きで、よく公園などを散歩されている人の中には、スマホやデジカメで写真を撮ることが好きな方も多いと思います。僕も日常的に、望遠レンズをくっつけた一眼レフを持って散歩をしています。

僕が通うフィールドでは、幸運なことに野鳥やリスがよく見られます。キビタキの美しいさえずりの姿や、毛づくろいする可愛らしいリスの姿を撮るのも好きですが… 個人的には、なんじゃこりゃ!と思える「ブサイクなすがた」を撮影できた時のほうが嬉しく思います。

理由はいくつかあって「かわいい写真は多くの人が撮っていて、インスタなどですぐ見つけることができるから」というのもありますが… いちばん強い理由は、どう頑張ってもカワイイと思えない姿こそが「生きているすがた」だと思えるからです。
人間に例えるなら、ニコッとカメラに笑いかける写真よりも運動会で歯を食いしばって走っている表情を捉えた写真が好き、という感じです。

(誤解なきよう。カワイイ写真も好きですよ!)

たとえばエゾリスの写真だと…

こういうのも好きなんですけど

こっちのほうが好きです。

いい。

この写真は、林の中をとことこ歩いているハシボソガラスに威嚇するエゾリスの写真です(※ 耳についているのは大学による研究用のタグです)。

エゾリスってものすごく怒った時に「ヴー…ヴー…!」と犬のように唸り声をあげるのですが、運良くその様子を捉えたものです。ヴーヴー写真です。この写真を撮るまでエゾリスの上唇の毛なんて気にしたことがなかったし、目を細めてることにも初めて気が付きました。「なんじゃこりゃ!」な姿は目を引き付け、いつもとは違った視点を持つことができるので、新たな発見を得ることが多いです。これも魅力の一つですなぁ。
なによりこの本気の表情。カラスはエゾリスを捕食することもあるので、実を守るためにエゾリスも必死に威嚇します。その必死なエネルギーが画面越しに伝わってくるような気さえします。

こういう写真を撮るコツは、フィールドで野生動物を見つけた時に「つぎにどう動くか」を予想しながら姿を追うことです。たとえば身近な例でいうと、水たまりで水浴びをしているスズメはやがて水浴びを終えて枝や電線に移り、体を振るって水滴を落とします。次にくちばしを背中や羽の中に入れて羽づくろいをします。つまり、水浴びをしているスズメを見かけた時点で羽づくろいすることを予想できていれば、羽づくろいの姿を狙って撮影することができるのです。エゾリスの場合も、犬やカラスが近くにいると威嚇したり逃げたりするので、犬・カラスとの距離を意識しながらリスを見続けると「おっ、そろそろ威嚇するかな?」と予測できて、おー、やっぱり威嚇した!パシャ。とできるわけです。

多くの人が野生動物に感じる魅力はさまざまだと思いますが、ぼくは彼らの「生きようとする姿勢」を観るのが好きです。その姿を写真に収めるために日ごろの観察が実を結ぶというのもアツくて、上手くいくとよっしゃ!と思えます。ほんとうにエキサイティングです😊


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