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映画鑑賞記録 #3

新作の撮影もあったことから、前回の映画鑑賞記録から1ヶ月空いてしまいましたが、久しぶりに更新です。今回は、ドラマ作品は#4の1本、映画は#18〜#30までの13本です。これまでの記録方法とは違うメディアで書き置きしたので、各作品、やや長めの感想になっていますが、ご了承ください。最後に、これは書きたい、と思った作品の感想を長めに書いています。ご興味ある方は、有料部分にはなりますが、ぜひご購入いただけますと幸いです。100円に設定してます。

ガンニバル / 片山慎三

2023.02.02 #4
★★★☆☆
えらくスローペースだなぁと思っていたら、最終話で、「あ、これ続編やるのね」となった。相変わらず柳楽優弥が人を殴る顔は、無性にいい顔をしている。ディストラクション・ベイビーズの時と似た顔をしていて楽しかった。それから、吉岡里帆が常に薄着で、絡みの直前のシーンなども妙に艶っぽくてよかった。作品としては、昔ながらの村社会を基本軸にして、「食人」という禁忌を犯す一族を追う物語。別段、目新しいものはなく、触れる点はなかった。最終話付近で出てきた警察側のメンバーが、2期にガッツリ関わってきそうで、楽しみ。


れいわ一揆 / 原一男

2023.01.23 #16
★★★☆☆
『水俣曼荼羅』とは違い、取材にかなりの粗雑さを感じた。れいわ新撰組の総選挙をめぐるドキュメンタリーだが、中核を担うのが、「やすとみ歩」である。彼を中心にその選挙活動を描 くのは結構なのだが、彼自身の人となりや心情が見えてこな い。街宣活動で音楽や馬を用いるという奇策を撮り、その理由を語る場面もあるのだが、なぜそれに至ったのか、その取材がない。だから、故郷に帰って涙を流しながら演説をする場面も、こちらには響かない。原一男が、初めて人間ではなく、 「イベント」をドキュメントした映画である。それは実に残念なことだ。


はりぼて / 五百旗頭幸男

2023.01.25 #17
★★★★★
富山市議会における政務活動費の使途を巡る汚職と告発のドキ ュメンタリー。チューリップテレビという小さなテレビ局の報 道班が、これでもかと芋づる式に腐敗を暴いていく様が爽快 で、非常に見応えがあった。政治家が辞め、新たな政治家が議 長を務め、その度に新たな不正を見せつける。いささかタイミ ングを狙ってやっている感があり、「罠にハマった」人間の話 し方、逃げ方に、それぞれの人間が出ていて面白かった。ラス トで、これまで散々槍玉にあげてきた重鎮政治家と報道班が会 話するのだが、「あんたら強すぎだ」と言う通り、報道の正々 堂々テレビに徹した生き様が面白かった。


グッドバイ、バッドマガジンズ / 横山翔一

2023.01.26 #18
★★☆☆☆
今年ベスト級に期待して観た結果、今年ワースト戦線の最前線に上がってきた感覚。この作品は、切り口と題材のキャッチーさで、随分話題になっているように感じるが、中身はどうか。 「エロ雑誌」というのはガワの話でしかなかった。エロ雑誌に具体性が皆無で、エロいって何、と悩む主人公が、一体どう成長を遂げ、新雑誌刊行の一役を担うまでになったのか、その点が全くわからない。そもそも主人公の描き方が、西部劇のそれと同じで、結局のところエロ本ではなく社会だった、というのが寂しかった。


そして僕は途方に暮れる / 三浦大輔

2023.01.27 #19
★☆☆☆☆
お金を返して欲しいと切実に思ってしまう作品だった。


テレクラキャノンボール / カンパニー松尾

2023.01.30 #21
★★★★☆
再見作。2年ぶり3度目の鑑賞。 やっぱり「食うか食わないなら、俺は食う人生を選ぶ」と締められる食糞ドキュメンタリーなんて、この作品しかないと思うし、大馬鹿男たちが、不謹慎にも女性の体だけを頼りにドラマ を生み出すというのが面白い。意外にも、「この企画に参加する女性」というのは、日本社会における闇の側面的要素もあっ て、社会派ドキュメントとしても成立しているし、しっかりエロティックな画面もあって、職業としてAVをやっている人間の強さが見える。カンパニー松尾、早く新作キャノンボールを求 む。


マリッジストーリー / ノア・バームバック

2023.01.31 #22
★★★☆☆
言語的すぎるような気もするが、主演二人のお芝居が面白くて目が離せなかった。物語としては、「離婚にまつわる泥沼裁判」というアメリカ訴訟社会をあるあるを描いたもので、最序盤の互いの好きなところを手紙にするシーンが最後まで見れな い構成になってる。けれど、あれのおかげで回想もいらなきゃ、それぞれの過去を描く必要も無くなった。ちょっとしたことだけど、上手いなと思った。散髪や靴紐、指を切ってしま う、といった一見どうでもいいシーンを丁寧に細やかに咥えているのが、非常に良かった。


アイ・フィール・プリティ! / マーク・シルヴァースタイン

2023.01.29 #20
★★★★☆
頭を打った衝撃で、自分が美人になったと錯覚する主人公の物 語。白眉だったのが、主人公の描き方だった。美人に変わった はずの主人公をそのままの姿で演じさせ、それでいて、だんだ ん魅力的に見えるように演出されていた。例えば、髪型であっ たり、メイクや言動でも、ありのままの姿のまま美人を演出し ていて、この物語を丁寧に描きたい感情が見えた。また、やっ ぱり自分は美人じゃなかった、それでもありのままでいいん だ、というのが前時代なら「男」や「友人」という他者によっ てもたらされる成長だったが、本作は、それが自分というのが 時代の変化を感じた。


3年目のデビュー / 竹中優介

2023.02.03 #23
★★★★☆
ひらがなけやき→日向坂へと移るまでの3年間、撮影当時に至る までのドキュメント、それを振り返るメンバーのインタビュー で構成される。個人的には、オードリーがやってる彼女らの番 組が面白くて、かなりの頻度で見ていた。推しメンの長濱ね る、柿崎芽実が立て続けに辞めたことから、見るのが少なくな ったが、あの頃を思い出して、かなり良かった。某映画アカの 人が、「観るWikipedia」と感想を書いていたが、まさにそうい う感じで、映像にした時のエモーションがきっちり捉えられて いてよかった。ちなみに今の推しメンは、金村美玖です。


<片隅>たちと生きる / 山田礼於

2023.02.04 #24
★★★☆☆
一つの映画にどれほどの取材と調査があって、この監督がどれだけ真摯に原作と向き合って、原作描かなかった部分や、描いているけれど薄い部分を保管したり、またその逆もあったり と、非常に片渕須直という監督の仕事が見えて、面白かった。 その周縁の人物も魅力的で、調査協力をしていたおじさんの、 限界1K生活が映し出されるのだが、「物質的、経済的に豊かにはなってないが、精神的には豊かだ」って美味しそうに日本酒を飲んでいるのを見て、あぁいいなぁと思った。どことなく監 督の奥様が、『この世界の片隅に』の鈴にキャラクターが似て いて、そういう面でも片渕さんが、この作品を作るのには大きな意味があったんだろうなと思った。


ザ・ロストシティ / アーロン・ニー&アダム・ニー 

2023.02.05 #25
★☆☆☆☆
サンドラ・ブロックにチャイニング・テイタムにダニエル・ラドクリフという完璧にコメディ映画を作りますという布陣にも関わらず、どうしてここまでギャグが寒いのか。冒頭から終盤までほとんど滑っていて、むしろ本来どうでもいいはずのストーリーを追ってしまうという謎の鑑賞法になっていた。面白くない。


バイオレントナイト / トミー・ウィルコラ

2023.02.08 #26
★★★★☆
想像以上にアイデアが豊富で面白かった。てっきり『ホームアローン』的なびっくりトンデモ仕掛けで、敵を排除していくのかと思いきや、その手段が「ハンマー」というのは、予想外にパワー攻めで驚いた。サンタの魔法を駆使して、ラストで大ボスを倒すアイデアや、ガートルードのこれぞホーム・アローン的なオマージュも込めた難敵撃退術はお見事で、アクション映画とはかくあるべしという感覚。アクションの起点から終点までを丁寧に画面に収めるから、少々の動きでも理解を伴って見られた。
ただ、サンタ自身がなぜ犯人グループに立ち向かうのか、という動機の部分は弱く、単にトナカイがいないから帰れない、というだけでスタートするのが残念だった。また、途中でガートルードの怯える姿を見て、サンタとしての意地を取り戻していくのだが、途中途中に挟まれる妻の存在や、サンタの過去の回想などがコメディにしてはやや重く、ノイズに感じる節があった。
手数の多さと、アイテムの使い方、展開や構成よりも、結果から生み出される手段という感じがして、あぁ久しぶりにこういう演出を見たな、と嬉しかった。


ワイルド・スピード ジェットブレイク / ジャスティン・リン

2023.02.08 #27
★★★☆☆
中学生の頃にどハマりしていたシリーズ。バイオレントナイトで次回作の予告を見て、ハンが出ていることに驚き、鑑賞。このシリーズで一番好きだったハントジゼルのカップリングは、もう見られないけれど、あのチャーミングで漢臭のプンプンするハンをもう一度見られただけで満足。作品としては、なんでこうも長くなるのか全く意味がわからないのだが、中終盤以降におけるなんでもアリの破壊カーアクションが始まってからは、終始ニヤニヤ見てしまった。ただやっぱりブライアンが足を洗った設定を続けるのは無理があると思うし、本作も夫婦で足を洗ったはずのミアが仲間に再集合して、共に戦う。だとしたらブライアンも来るはずだろう、と思ってしまう。俳優の死=登場人物の死にしたくない気持ちはわかるが、これではブライアンが相当ひどい男になってしまう。残り2本で完結らしいので、これからに期待する。


きさらぎ駅 / 永江二郎

2023.02.09 #28
★★☆☆☆
ホラー映画だと思って鑑賞したが、それというよりはループものという印象。きさらぎ駅に関するいろんな要素が、POV視点で描かれたり、クソチープな爆発描写があったりと、意外と楽しんだ。単純なループものというよりは、ゲームのRPG要素が強くて、NPC相手に、いかに攻略して行くか的な展開が面白かった。何度も何度も攻略して、完全にきさらぎ駅RTA展開に持ち込んだ方が面白かったように思う。


スナックあけみ / 山内大輔

2023.02.11 #29
★★★☆☆
OP PICTURES+で、高評価を得ていた本作品は、確かその年のピンク映画大賞も受けていたように記憶している。山内大輔監督は、俳優をよく同じ役名で映画に出演させるが、石井隆の村木と奈美的なことではなく、単に記号としての役名という方があっているのだろうか。本作は、エンコウ相手の財布から金を奪っているところを見られ、ボコボコにされた家出少女の霧島さくらが、うんこが漏れそうな帰宅途中の川瀬陽太に声をかけることから物語が展開していく。このスタートから、あぁいいなぁと見入る。それぞれが社会の縁からこぼれ落ちたような家庭環境があって、例えば、孤児院で育ったり、両親が他界していたり、そんな登場人物たちが「スナックあけみ」を舞台に、疑似家族として暮らしていく。いい話だった。
そのため性描写としては行為としてのエロスというより、むしろ生活野中のそれで、やや薄く感じた。全体的に、寒色の照明の中での絡みが非常に多く、汁っぽさや生っぽさが乏しかったのが、残念。その中でも、やはり佐倉絆の肢体は美しく、小ぶりながらも揺れる胸は非常に扇状的だった。


ミッドナイト・ファミリー / ルーク・ローレンツェン

2023.02.12 #30
★★★★☆
メキシコの民間(無許可)の救急隊のドキュメンタリー。これ本当にドキュメンタリーなのってくらい画面の収まりが良くて、編集という点ではかつてないほどに劇映画チックなものだった。患者を画面に映せないという縛りからか、この映画では「手」というモチーフが、丁寧に描写されていて、その中でも、ボーイフレンドに殴られ血まみれになった女性が、腕に彫られた恋人との何某かのタトゥーを擦るカットが白眉だった。映画だった。あんな瞬間を捉えているのはすごい。他にも、親子で事故に遭い、体を固定され動けない息子の手、意識不明の赤ん坊の手など、生々しいのに映画的なカットが挿入されていく。
また、夜のメキシコを救急車同士がカーチェイスするシーケンスだったり、地元警察との癒着絡みのやり取りがあったり、金がない中、太っちょの小さな息子が、ツナ缶を腕いっぱいに抱えて店を出る場面だったり、印象的なものが多かった。
毎回一仕事終えた後に、彼女に電話して報告する主人公も可愛くて、なんだかミッドナイト・ファミリーというタイトルが非常にしっくりくる映画だった。


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