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WAKIMIZU

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2019年2月の記事一覧

詠唱禍歌

1.

遊びじゃないもん全部

でも幻

星降る夜があったけど

桜吹雪が舞ったけど

全部本気の幻

シャンデリアが揺れた日も

カスピ海が凪いだ日も

朝目が覚めたのも

2.

赤い山が一斉に散った。

私は貴方のことを必死で思い出そうとしていた。

顔もぼやけて輪郭も定かで無い記憶をなんとか辿ると、真夏の匂いがした。

途方もない量の懐かしさに意識が混濁し始めて地面に伏せると、目の前が暗転

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曇天の海の向こう側から

太陽を映して炎を作ったことのある

小さな鏡の欠片

電気の通った砂鉄

髑髏の粉

鮫の内臓

毒にも薬にもならないものを入れ

ゴブレット一杯の海水を飲み干せ

ガジュマルの木を切り倒せ

揚羽蝶になる前に刺せ

頭から喰らえ

仮面を付けろ

笹の葉を枯らせ

垂乳根の綱を千切れ

鞠を蹴り潰せ

海と山と里の

雨と雪と川の

飼い馴らした毒を以て

苦しむ人々を安らかに

平安あれ

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