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ダイエット幻想ーやせること、愛されること

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「なぜふつうに食べられないのか」に続いて出された「ダイエット幻想ー愛されること、やせること」のブレインストーミングとして書き溜められた記事です。ヘッダーの写真は、挿画を担当くださ… もっと読む
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「ダイエット幻想」書評/インタビュー 一覧

2020年2月7日 torus  (聞き手:水野梓)転載:Forbes 2020年1月5日 読売新聞 (評:宮部みゆき) 2020年1月5日 信濃毎日新聞 (評:内田麻里香) 2019年12月1日 毎日新聞 (評:平松洋子) 2019年11月23日 webちくま (評:山本ぽてと)

急に具合が悪くなる① 未来に広がる可能性

 ツイッターで話題となっている「100日後に死ぬワニ」  ちらちらと読んでいたのだが、気がついたらあと数日で死を迎えることになっていた。このマンガが何を意図して作られたのか、そしてどんな100日目を迎えるのかはちょっとだけ気になる。  『急に具合が悪くなる』(晶文社)、この本は哲学者の宮野 真生子さんと人類学者の磯野 真穂さん2人の往復書簡だ。宮野さんは乳がんを患い抗がん剤治療を受けていたものの多発転移がみつかり、主治医から「急に具合が悪くなるかもしれない」と宣告されている

ルッキズムの中のルッキズム

ルッキズムに反対という意見。大義にはもちろん賛成だが、ルッキズムなき世界とはどういう世界なのだろう。 例えば、反ルッキズムの人が自分の写真のSNS映えを気にしていることがある。 これはルッキズムではないのか? 心地よくない問いだけれど多様性の本質を考えるために必要な議論だと思う。 言い換えると、反ルッキズムの思想がかつて否定的に捉えられていた身体を肯定しながら、新たな「理想の身体」を作り出している可能性があり、それは暗黙のうちに「肯定できない身体」を作り出

承認欲求を否定しながら、刺激する社会をいかに生きるかー「ダイエット幻想」に込めた挑戦

今年の6月22日、私は『ダイエット幻想』の終章を書き終わり、5日後の6月27日に『急に具合が悪くなる』の最終便を宮野さんに託しました。 私はこの二つの本を同時並行で書いていました。 でも、だからこそ、宮野さんへの最後の書簡は、『ダイエット幻想』を書き終えた状態で、書簡にだけ全力を投じられる状態で書きたかった。 『急に具合が悪くなる』は私にとって、これまでに経験したことのない、大きな挑戦でした。初めての共著でありながら、その片方の結び手がどんどんと具合が悪くなり、死に直面

To tell my intentions, I want to eat only haze like a hermit  by Katherine Longly

Katherine Longly, a Belgian artist, gave a disposable camera to 10 Japanese in their 20s to 60s. They all had some struggles with food and body. She asked them to take photos of food or body as they liked. Since it was disposable, they cou

糖質制限は環境に悪い?

先日、流した「糖質制限、地球に優しくない」ツイート(下記)が思いの外拡散されたので、もう少し背景がわかる情報とともに、糖質制限と環境の話し、そして文化人類学のものの見方についてふれておきたい。 私がディスカッションをしたのは、オレゴン州立大学人類学部准教授のEmily Yates-Doerr。食にフォーカスを当てた研究をしている。 「糖質制限が環境に悪い」という話は、この食事法が糖質を制限させる一方で、肉を食べることを奨励するところから来ている。彼女がどういう観点で「環境

7袋のポテトチップス- 食べるを語る、胃袋の戦後史

サザエさんにはよくつまみ食いのシーンがでてくる。 いったいなぜだろう? サザエさんに多くの食べるシーンが登場するのは、サザエさんが食糧難の時代に始まった漫画だから。 近代日本のありふれた人々の食を描いた骨太の力作、『胃袋の近代』に続き、戦後から現代の日本の食を描いた『7袋のポテトチップスー食べるを語る、胃袋の戦後史』が、晶文社より先週発売された。 著者は歴史地理学者の湯澤規子さん。からだと食べ物について社会との繋がりから考えるワークショップ、『からだのシュ

好かれるためには《要努力》?ー「当事者が語る、摂食障害の作り方」

食べること。そして、からだ。 食べることは、世界の一部を自分の内に取り入れること。 一方、からだは、自分と外の世界をつなぐ《扉》です。 私たちは、世界との繋がりなしには生きていけません。 したがって「世界との繋がり方がなんだかおかしい」と感じた時、私たちは食べ方と身体を変えることで、しばしばそれを修正しようとします。 特に、思春期の女子が食べ方を変え、身体を細くすることの効果は絶大です。 たとえばシューレ初の試み『当事者が作る、摂食障害の作り方』に登壇してくださった

からだのシューレ 2019年3月のご案内

15回目のからだのシューレは、女性ならだれでも気になる「かわいい」がテーマ。 3月9日(土)に、女優・ライターの石川優実さんをゲストに迎えて開催します。 *タイトルをクリックすると詳細&申し込みページにリンクします。 3/9(土)「『だって私、かわいくないから』の呪い」ー石川優実×吉野なお トークショー  (18:45〜20:30@東京ウィメンズプラザ 視聴覚室A・B) 講師:石川優実さん(女優・ライター)、吉野なお(Nao)さん(プラスサイズモデル・シューレメンバー)

からだのシューレ 2019年1・2月のご案内

からだと食べもの、私たちをとりまく社会について、広く楽しく考え・感じる「からだのシューレ」。 2019年1・2月の開催日程が決まりましたのでご案内いたします。 *タイトルをクリックすると詳細&申し込みページにリンクします。 1/26(土)「ブタと生きる―いのちをもらって食べるということ」 (18:30〜20:30@東京ウィメンズプラザ 第2会議室B) 講師:比嘉理麻さん(文化人類学者) 参加対象:どなたでも 参加費:1000円(前売り)・1500円(当日) 2/13 (

「からだのシューレ」サムネイルとバナーが完成しました!

「やせたい」ってなんだろう?―「からだのシューレ」新メンバーを迎え再始動します

2016年3月より、11回にわたって行われた「からだのシューレ」では、主に文化人類学の観点から、からだと食べ物について参加者の皆さんと一緒に考えてきました。 企画者の磯野(@mahoisono)と、林利香さん(@eat119)がともに摂食障害の研究と啓発活動にそれぞれ関わっていたため、参加してくださった方150名の内、半数弱の方が摂食障害の経験者でいらっしゃいました。(過去のイベントはこちらから確認できます) 「からだのシューレ」は、東京開催が10回目を迎えた2018年3

顔の傷跡でからかわれた私が不登校にならずにすんだ訳

 突然ですが私は鼻の真下に傷があります。そこまで大きなく、通りすがりの人が振り向くほど目立つわけではないですが、人によっては気付くようです。  「もし気にしてたら悪いんだけど、『みつくち』で産まれた?」と聞かれたことも何度かあります。  詳しいことは知らないのですが、調べたところによると、みつくちの正式名称は口唇裂。  鼻の下と上唇が裂け目でつながってしまうような状態で、その形がうさぎの口元ににていることから「兎唇」と呼ばれたり、あるいは「みつくち」といわれたりもするそ

大丈夫、みんなそんなにキラキラしていない

イギリスのバースで開かれた、外見に関する学術会議"Appearance Matters 8"。 ここで注目されていたトピックの1つが、インスタに代表されるSNSのボディイメージに及ぼす悪影響でした。 この場合のボディイメージとは、自分自身が自分の身体をどうとらえているかということを指します。 これまでの研究ではっきりしているのは、スタイルのよさを強調するようなキラキラした写真をSNSで見ると、ボディイメージが悪化してしまう。 つまり、自分の身体に対する肯定観が下がると