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全身の痛み。抗がん剤の副作用とカサンドラ症候群 小田実さん 『痛くて不安で孤独なあなたへ 人生を取り戻す回復への物語』より

今、痛くて不安で孤独な方へ

はじめまして。
『人生を変える幸せの腰痛学校』著者の伊藤かよこです。
2019年より『人生を変える幸せの腰痛学校』の読者さんを対象にしたオンラインコミュニティを運営しています。
今回、コミュニティ有志の方がご自分の痛みの体験談と回復へのきっかけを書いてくださり、それを電子書籍にまとめることができました。

本の一部をここで紹介します

さまざまな苦難を乗り越えてこられた小田実さん。
よくぞここまで幸せになられました。
物語の一部を紹介します。

社会人になった20歳の頃から肩こりはありました。
その後、結婚、出産。
おんぶや抱っこをすることで腰痛になりましたが、すぐになくなりました。

36歳の秋、新築マイホームを建てることになりました。
順調に話が進んでいたのに、契約の数日前になって夫の両親から別の中古物件を勧められます。
そして、その中古物件で夫の両親と同じ敷地に住むという話があれよあれよと進んでいきました。
当時のわたしは自分の意見を何も言えませんでした。

近くに住んですぐに義父の身勝手な言動や行動が気になりだしました。
1ヶ月もたたない頃、腰周辺に違和感を覚えます。それから腰の痛みは強くなっていきました。

1年半が過ぎ、今度は夫の兄弟が近くに引っ越ししてくることになりました。
この時も何も言えませんでした。

この頃から理不尽な思いをすることが増え 不定愁訴に悩まされるようになります。
肩や腰だけではなく全身が広範囲に痛むようになりました。

ギックリ腰を何度か繰り返した後、整形外科で検査を受けました。
結果は腰椎椎間板ヘルニアでした。
手術が必要なほどではなく、電気治療で様子を見ることになりました。
なかなか症状が変わらないので、今度は別の病院で腰のブロック注射、トリガーポイント注射。
そして、鍼、マッサージ、カイロプラクティックと更に健康食品、健康器具、医療機器も買いました。なにをしても痛みは変わりません。

全身の痛みを抱えたまま迎えた48歳の誕生日。
乳がん検診でガンが見つかりました。
手術、そして、抗がん剤。
抗がん剤では強い副作用が出ました。
全身の痛みとしびれ、足の裏は感覚を失い、歩いても踏みしめる感覚がありません。
手足は思うように動きません。
私は伝って歩くことが精一杯となりました。
『本当にこんなに辛い治療をしなければいけないの?』
『もうやめてしまおうか? でも、再発したら誰が子どもの面倒をみるの?』
何度も自問自答しながら4回の抗がん剤治療を終え、身も心もボロボロになりました。
いま振り返ると完全に鬱状態でした。

抗がん剤が終わったあと、足の裏の感覚と痺れはマシになりましたが、元通りにはなりません。
わたしは前にも増して痛みに過敏になり、明けても暮れても頭の中は痛みと痺れでいっぱいになりました。

50歳の夏、義母が認知症を発症しました。
近くに夫の兄弟がいましたので協力して乗り切ろうと思っていたのですが、心配するどころか完全に拒絶、離縁を突きつけられました。
この時ほど激しい怒りを感じたことはありません。

義父には度重なる問題行動がある上に義母の認知症です。
心が限界だったのでしょう。
過呼吸を発症し、繰り返すようになりました。
身体はどんどん衰弱し眠ることができません。
毎日が生き地獄です。
消えてしまいたいと思うようになり、生まれて初めて精神科を受診しました。
抑うつとパニック障がいという診断を受けました。
医師からは【カサンドラ症候群】だと言われました。

その後、義父母はそれぞれの施設へと入所することになりました。
抗がん剤治療から6年、54歳の頃でした。
やっとほっとできるかと思っていた時、今度は、高齢者施設に入居していた実母を引き取ることになりました。

その頃のわたしは、左腕と左足に力が入りにくく、スマホやお茶碗を持つことさえもつらくなりました。
そこで、もう一度身体を調べてもらおうと市内で1番大きな病院へ行きました。

整形外科でMRI、脳神経内科で神経伝達検査をしましたが異常は見つかりませんでした。
医師から「精神的ストレスではないですか?」と言われました。
こんなにも痛くて辛いのに、ストレスの一言で片付けられたことが情けなくなり、医師を目の前にして大粒の涙が止まりませんでした。
(つづく)

わたしの大切な物語⑥ 小田実さん(仮名)の場

続きは電子書籍『痛くて不安で孤独なあなたへ』でお読みください。
読み放題無料です。

これでもかというほどの不幸が続いたとしても、いつか笑える日がくるということを教えていただきました。
ありがとうございます。


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