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季節を味わう、七十二候のしらべ。「菊花開く(きっかひらく)」

昨日までは秋晴れが続いて、真っ青な空がどこまでも続いてとても気持ちよかった。
菊の花が咲く頃の青空を菊晴れと言うそう。

どこまでも青い空を見ていると、空はどこまでも広いのだなと改めて感じさせてくれる。

菊花開く(きっかひらく)

新暦では10月13日〜17日 二十四節気「寒露」の次候

菊の花が咲き始める頃。

菊花展や菊まつり、はたまた競馬の菊花賞と菊にまつわるイベントがこれから盛んになる時期でもある。

個人的には高貴に咲き誇る大輪の菊ももちろん素敵だが、道端でひっそりと咲く野菊の慎ましさに惹かれてしまう。

菊の花はもともとは日本自生の花ではなく、奈良時代に薬草として中国から日本に伝わったんだとか。

薬草としての面影は身近なところで言うと、刺身の盛り合わせにちょこんと載っている菊の花を思い出す。

小さい頃は、刺身に添えられた菊の花を見るたびに、これは食べられるのか、美味しいのかと良く考えていた記憶があったが、
あれは単に彩りで添えられているのではなく、菊の花の中に添えられている「グルタチオン」と言う成分に殺菌の役割があるために添えられているらしい。
同じく殺菌作用があると言われるワサビと一緒に添えることで、ナマモノを安全にいただくと言う生活の知恵を感じる。

そもそも中国で菊は、延命長寿の生薬として重宝され、今でも「菊花茶」、「菊茶」として目の疲れや身体の熱をさます目的で飲まれている。

また「菊茶」と言えば、ヨーロッパではキク科のカモミールが安眠や消化促進の目的で飲まれている。
ちなみに、うさぎのピーターラビットがお腹が痛くなった時に、お母さんが煎じてくれたのもカモミールティーである。

品種は違えど、世界各国で菊の花が生活に溶け込んでいるのが非常に興味深い。

日本でもお供え花として、家紋として、食用として使われる菊の花。
邪気を払うと言う意味合いから仏花に使われる印象が強く、どことなく近寄り難い印象を持っている方もいるかもしれない。

しかし仏花にまで使われるのは、それだけ菊の花が高貴で格式高い花であるから。
花の中でもダントツの存在感と清浄な力を併せ持ち、どこか人の気持ちを律する不思議な力を持つ菊の花。

菊は親しみやすさと近寄り難さの両方を持つ不思議な花だと思う。
菊の魅力を理解し尽くすのには相当な時間が掛かりそうだが、これから少しずつ日常に取り入れてみたい。

補足事項
・季節の言葉 菊枕
・季節の果物 栗 (旬は9月~10月) 
・季節の魚介 はたはた (旬は10月)
・季節の兆し 菊晴れ (菊の花の咲く頃に青空が晴れ渡ること)
・季節の行事 神嘗祭 

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