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季節を味わう、七十二候のしらべ。「水始めて涸るる(みずはじめてかるる)」

note投稿50回目である。
今近くの公園でコスモスの花たちが所狭しと太陽に向かって咲き誇っている。

昨日の台風余波に伴う強い風と雨で、コスモスたちが折れかかっていたが、今日どなたかが直してくれたらしい。
昼間行ってみるとまた元のように太陽に向かってのびのびと咲いていた。

今回は七十二候紹介、第9回目である。

水始めて涸る(みずはじめてかるる)

新暦では10月3日〜7日 二十四節気「秋分」の末候

田から水を抜き、稲刈りを始める頃。

「涸る」は水が干上がる、枯れてなくなるの意味。

水田に張っていた水を抜き、いよいよ刈り入れの時。
種籾から始まって、稲の収穫に至るまでには約半年。

有名な話だが「米」と言う漢字は、「八十八」と言う時の組み合わせからできていて、それは米作りには八十八個の手間が掛かることに由来しているそうだ。

そうした手間に加え、台風や水害と言った自然災害をも乗り越えて私たちの元に届く米。

国民1人が1年当たりに食べる米の量は53.5キロ(2018年度)で、
パンや麺食の台頭もあり、1962年の年間消費量118.3キロをピークに米の消費量は落ち続けているらしい(農林水産省HPより)。

しかしいくら米の消費量が減っているとは言え、日本と米は切り離せないし、あちらこちらに文化としても根ざしている。

例えば先日、駅の前の宝くじ売り場を通った時、
「本日は大安吉日、一粒万倍日」
の文字が目に入った。

「一粒万倍日」は「いちりゅうまんばいび」と読み、結婚などの祝い事、開店・開業、宝くじを買うなど、
大安と並んで、何かを始めるのに良い日とされている。

もともと「一粒万倍」とは、わずかなものが非常に大きく成長することの例えとして使われる。
この「一粒」こそが、籾(もみ)のことであり、籾一粒から苗ができ、そこから無数の米粒ができる姿を表した言葉だ。

また面白いのが「僅かなものから多くの利益が得られる」と言う意味だけでなく、
「僅かなものでも粗末にしてはいけない」と言う意味も「一粒万倍」と言う言葉にはあることだ。

元々この言葉は「報恩経(ほうおんぎょう)」というお経の中の「世間求利、莫先耕田者、種一万倍」が典拠であるとされていて、

「少しのものからでも、何万倍の収穫が得られるから、どんな些細なことも大切にせよ」

と言う意味なのだが、
この考え方はどこか日本らしいなと言う感じがする。

そう言えば小さい頃ご飯を食べる時に、良く母親から「農家さんが一生懸命作ったお米だから、感謝しながら、米粒も残さないよう食べなさい」と言われていたなと思い出す。
その教えのお陰で大人になった今でも、米粒を残すことにどこか抵抗があり、忙しくても一粒残さず食べる習慣が身に付いている。

稲穂の成長を人生になぞらせて、小さなこと・些細なことも大切にしようとする日本人の精神性が好きだ。

米所新潟では、6〜7月の高温傾向で生育が進み、昨年並みの「やや良」の収穫予想らしい(米穀データバンク発表)。
今年も新米が楽しみな季節になってきた。

補足事項
・季節の言葉 稲刈り
・季節の野菜 銀杏 (旬は9月下旬〜11月)
・季節の魚介 とらふぐ (秋~冬)
・季節の草花 金木犀(開花は9月下旬~10月)

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