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なぜ公共政策を選んだのか

先週は、なぜそもそも大学院に行こうと思ったのか、それはもちろん学びたいということに加え、とてもとても端的に言ってしまえば海外の国の人との交流を通じて視野を広げたかったからだという話をしました。
(こちらをご覧ください。)

さて、今日はなぜ公共政策を選んだのかというお話をします。実際にどんなことを学びたいかということを問われたとき、世の中には色々な選択しがありました。例えばMBAだっていいし、コミュニケーション学だっていいし、心理学も興味があるし・・・と。でも、どうして最終的に公共政策に行き着いたのか。それは、正直に言ってしまえばインスピレーションが一番!なわけですが、今学びはじめて振り返ってみるとこういうことなのかな、と思っていることを書きたいと思います。
それは大きく分けて2つあるように思います。

まず1つ目。先週、これまでアナウンサーとして色々な人にお会いしてきたということを書きました。例えばNHK時代「ニュースウオッチ9」のリポーターを担当していたときは、毎日毎日起きるニュースに反応して例えば政治のニュースがあったら自民党に行き、経済のニュースがあったら証券会社のエコノミストの方にお話を聞きに行き、社会のニュースがあったら、見知らぬ土地のこともすぐに調べて現地で取材をし、国際のニュースがあったら、海外に飛び・・というような生活をしていました。
その後の「クローズアップ現代+」ではもう少し長いスパンでテーマについて勉強し・取材し・放送当日はゲストをお迎えし、打ち合わせと生放送でご意見を聞く日々でした。
もちろん、日頃からニュースを見て、勉強してそれが蓄積となりますし、その都度その都度勉強をして、取材をするまでに一つでも多くのことを理解しようとするわけです。だって、それを視聴者の方にお伝えするんですから!(例えばウオッチ9では戦後70年の談話を当時の安倍首相が発表した日の夜に首相の前でスタジオでその談話をパネルを使って生放送でプレゼンするようなスピード感と緊張感の毎日でした。)
でも、やっぱり専門家には敵わないし、全てを理解することは難しかったです。特にニュースウオッチ9のときはもっともっとじっくり勉強する時間がほしいと思っていました。
政治についても経済についても社会についても国際関係についても、もっともっとベースの知識をつけたい、つけないと相手に失礼だし、自分もよりこうした知識をつけたい・世界のことを理解したい、その上で相手と相対したいと思うようになりました。
もちろん聞き手が専門家にまでは必ずしもならなくて良いし、全てにおいてはなれないと思うのですが、少しでも多くのことを理解している方が良いお話を引き出すことができます。

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余談ですが、最近アナウンサー(に限らずかもしれませんが)が大学院に行くという流れが少しずつ出始めているように思います。
何を学んでいるかは人それぞれですが、きっと多かれ少なかれ仕事をしていく上でこうした問題意識を持つ人が多い証左ではないかと思っています。
同時に、仕事や子育てをしながらこうした道を進んでいる人たちを勝手に同志のように感じています!(前回話したように、組織内ではこうしたことは特に推奨されていることというわけではなく、恐らく割と孤独な道を歩んで挑戦していると思うからです。)もっともっとこうした流れが普通になるべきだと思います。
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こうした問題意識でさまざまなコースの選択しを見渡したときに、より広範囲に私の興味をカバーしていたのが公共政策、その中でも今私が受講しているコースでした。まず、公共政策ということで政治学・経済学・国際関係を包括的に学べること。そして基本的には他国からきた国家公務員のためのコースであることから、日本について教える科目が充実していること。つまり私からしたら日本の歴史や政治経済・国際関係・文化など興味のあることを全て英語で学ぶことができるわけです。英語も鍛えられますし、ディスカッションを通じて留学生からは他国のシステムとの類似点や違い、ひとつの事象についてもさまざまな考え方や価値観を学べると考えました。

もうひとつ、公共政策を選んだ大きな理由は、10年以上の社会人経験を経て私と公共政策というものとの心理的な距離が近づいたこともある気がします。もともと私は知人や友人で公務員の知り合いが多い方で、学生の頃も社会人になってからも国内外の大学院で公共政策を学ぶ知り合いがおり、割と身近な言葉ではあったものの、その頃の私にはピンとこないというのが正直なところでした。
仕事を始めてからは選挙報道や政治番組を経験する中で政治家の方と接する機会も生まれ、彼らがどういう働き方をしているかがなんとなく見えてきました。
さらに仕事をしていく中で、仕事とプライベート両面でさまざまな業界の方とのつながりも増えてきました。そんな中で最近では政治家や官僚の方だけでなく、経済界やNPOなど一見政治とは関係ないセクターで活動されている方が政策に携わるケースを見るようになりました。例えば5月まで「ダイバーシティニュース」というラジオ番組でご一緒していた駒崎弘樹さん。駒崎さんはフローレンスというNPO法人を運営しながらそこで得たさまざまな気づきを政策提言という形で国に届け、実際に社会に色々な変化を起こしていらっしゃいます。
私がもともとNHKに入ったのは、色々なものを自分の目で見て伝えたいということに加え、人々にとって大事なことを伝えることで少しでも社会を良くできたらいいなという思いがあったからです。そんな私にとっては政治家や官僚以外のアクターが社会を良くすることができるというのはすごく魅力的に映りました。交流しているときに意識的に学びの対象として見ていたわけではないのですが、こういうあり方があるのだな、ということを知らず知らずのうちに見てきた&こうした人々と接してきたというのが間接的に今学んでいることに非常に効いているような気がしています。こうした知人・友人の活躍が公共政策への興味を増やし、心理的な距離を縮めてくれたのだと思います。
改めて振り返ると5月までキャスターを担当していた「ダイバーシティニュース」はテーマが「社会・ダイバーシティ&インクルージョン」に特化した1時間で、1人のコメンテーターの方にキャスターの最良で自由にじっくりとお話を伺える時間であったので、よりそういう思いを強く持ちました。この番組を担当する前から大学院には進学しようと思っていたわけですが、週替わりのコメンテーターの皆さんがそれぞれの領域で社会を良くしたいと熱い思いを持っていた皆さんですごく影響を受けましたし、学びのある時間でした。それぞれの方にインスピレーションをいただき非常に感謝しています。
以前も今も私なりに社会を良くしたいという気持ちは変わりません。今はインタビューや司会などを通して社会にとって良いなと思うこと・人・ものをお伝えしていますが、また大学院での学びや人との交流を通じ、自分自身も成長する中で他にも自分なりの色々な貢献の仕方を見つけ、実践していきたいと思っています。

あれ、また長くなりました。公共政策への思いはこんなところです。
まだまだ色々お話ししたいのですが、できる範囲で息を長く更新していければと思っていますので今日はこの辺りで失礼します。
今後ともよろしくお願いします。

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