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倒れると、ふざけるのは止めろと言う母

小学校高学年の夕飯の際に、
母に何かで怒られていた。

食事部屋から出され、
そこから漏れ出る光しかない暗い廊下のトイレの前で
私は長々説教されていた。

視界がぐらりと一周したかと思ったら
気づいた時に私はその廊下に倒れていた。

初めてのことだったし慌てて起き上がると、母が
『演技はやめなさい』
と、怒り出しまた説教を始めた。

私の気持ちは恥ずかしさと怒られてる恐怖と
悲しみとでパニックで、
あの廊下の暗さと、
食事部屋からの光と、
逃げ込みたかったトイレのドアと、
カーペットで擦れた頬の感触と、
あの時着ていた紺色の体操着を、
今でもありありと思い出す。

あの頃、
大人の私がいたら、
間違いなく母をぶっ飛ばしたのに。
私は無力で、世界が家族だけだった、
幼い子どもだった。


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