スイカにはならない【掌編小説】(暴力表現あり)
誕生日ほどいらだつものはない。
わりと小さい頃から俺は誕生日が嫌いで、その日は家に帰りたくなくて、わざと隣の席の女子のランドセルに牛乳入れたり、授業抜けて万引きしに行ったりした。そのころは担任がいちいちクラス全員の誕生日を発表して「おめでとう!」なんてやりやがったから、余計腹が立った。
俺が子供の頃、うれしかったのは、亜也の誕生日だ。同じ団地の同じ棟で当たり前のように出入りしてて、亜也の家じゃ当たり前に俺の分もケーキを用意していた。そんなもの亜也の誕生日か亜也の家のクリ