見出し画像

お母さんになりたかった話⑦

前回は 手術を終えて、どん底の状態でした。

毎日、昼夜問わずに泣き続けました。
泣いてもどうしようもないんですけどね。


ハローワークへ

正直、私が働かなくても暮らしてはいけます。

でもここで、専業主婦とは名ばかりの引きこもりが爆誕する予感…。

自分のためにも、働かなくては。

ハローワークですぐに仕事を紹介してもらって、
面接も決まりました。

仕事内容は受付業務です。お客さんがたくさん来るので、とにかく案内案内。考え事をするヒマもないはず!!(この目論見は外れる)

私、頑張るからね!とのんちゃんに言いました。



就職

無事、試験は合格。
面接は得意なので楽勝でした。なーんて。

10月から働くことになりました。
職場は電車で一駅。
半日だけのパートタイム。

職場の方々はみんな優しかったです。

そして仕事は、忙しいときとヒマなときの
差がすごい…!
お客さんが全然来ないときもあります。

そういうときに限って、赤ちゃんを連れたお母さんが来たりします。

抱っこひもで連れてこられる赤ちゃん。
ベビーカーに乗せられて眠っている赤ちゃん。
お母さんに手を引かれて歩く2歳くらいの子。

だめだ、見るな。

そう思っても目で追ってしまい、涙が流れます。


抱っこされている赤ちゃん。
抱っこしているお母さん。

このお母さんも、私と同じように辛いことがあったかもしれない。
それでも、今、その赤ちゃんの重みを感じている。
私には感じられない、重み。

悔しくて、悲しくて、なぜここにのんちゃんが
いないのかわからなくて、帰りの電車の中でも
泣いてしまいました。


それでも家に帰れば、夫とお義母さんが待ってます。
私は、目の前で生きている二人を大切にすることを決めました。


それから3ヶ月

仕事もだんだん慣れてきて、接客の楽しさを感じていました。

家事も苦ではなく、お義母さんと一緒に洗濯や
洗い物をして過ごしました。
たまに散歩に行って、街並みを見てもらいます。

「ここは道路広いねぇ。木も綺麗だよ〜」と
いつも新鮮な表情で、一緒に歩いてくれます。

自宅はオートロックがついていたため、毎日
「ここに鍵をさすと、開きます!!」と伝えると、最終的にお義母さんはオートロックの解除方法を覚えました!80代になっても認知症でも、新しいことを覚えられるのです!!


買い物に行ったときは、普段着ないような
明るいピンクのニットを手にとって
「これ素敵だね!」と反応をしてくれたのでプレゼントしました。とても似合っていました。

ピンクのニットと、チーズINハンバーグ
ナイフとフォーク使いこなすのかっこいい


毎日一緒にいると見逃してしまいそうなことも、
私は目を皿のようにして変化を逃さないようにしました。
それを夫に報告します。
天気がわるかったから、目に元気がなかった とか、
今日は金平ごぼうを作ってもらったよ とか、
デイサービスの職員さんにジョークを言って笑いをとってたよ!とか(笑)


毎晩、「また明日ね」とお互いに言って
それぞれの寝室に入ります。
明日もこの暮らしが続きますようにと祈ります。


ただ、夫もお義母さんも眠りについたころ、
私はひとりぼっちになって、頭の中が騒がしくなってきます。
妊娠して幸せを感じたときのこと、つわりの感覚、
手術をした日、本当ならまだここにのんちゃんがいたはずの日々。涙が止まらなくて苦しい。

どんどん眠れる時間が減っていって、
朝日が昇ってから、やっと眠る日が続きました。

眠れればまだいいほうで、目をつぶると
胸が押しつぶされてるような感覚になり、
息ができなくなります。
起き上がっていないと苦しくて、負のループ。

私が毎晩そんな状態で、夫も辛かったと思います。

ほぼ八つ当たりですが、「なぜ私だけこんなに
苦しんでるの?二人の子どもじゃないの?悲しくないの?」と心の中でいつも思っていました。
でもそこは、絶対に分かり合えない感覚で、
同じくらい悲しんでほしいというのは無理な話。
夫も夫なりに悲しんでいて、私を励ますことに尽力してくれていたんですけどね。

ある日の朝、限界がきました。
自分の力じゃどうにもならない。
誰かに助けてほしい。病院に行きたい。


はじめての精神科

はじめてのおつかい的な。

でもはじめてだったもので、すぐは受診してもらえないことを知り、驚きました。
いや、うそです。落胆しました。
予約で埋まっているようで、今日はカウンセリングだけと言われました。

女性のカウンセラーさんと個室で話をしました。

受診のきっかけや、症状を聞かれました。

流産を経験して、毎日辛くて、眠れなくて。
まずは眠れるようになりたいと伝えました。

自分の口から「流産」「つらい」などの単語がこぼれるたびに実感が伴って、また涙が止まらなくなって。
でもなるべく冷静に話せるよう努めました。

カウンセラーさんも淡々と質問をしてくれて、
変な励ましなどもなく、安心して答えられました。

一週間後くらいに受診の予約がとれました。
それだけで心が少し、楽になったのを覚えています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?