水平線を眺めて、深呼吸を
休日の朝、急に思い立って逗子へ散歩に行くことにした。
閉塞的な毎日を過ごしていると、どこか自然のある場所へ行きたいという気持ちが湧いてくる。
1ヶ月前まで住んでいた街は、車を少し走らせれば広大な景色が広がっていて、気分が鬱々とした時にはその澄んだ空気を胸いっぱいに吸うだけで不思議と元気になれた。
そんな生活に慣れ始めていたせいか、私たちは早くも自然が恋しくなってしまったのかもしれない。
逗子を選んだ理由は単純で、海を見たかったから。水平線を眺めて、思いっきり深呼吸をしたかった。
何度か訪れたことがあると言う夫に散歩コースを任せ、電車の揺れに身を委ねた。
逗子駅前は地元民らしき人と夏休みを利用しているであろう人の両方がいて賑やかだった。焦げてしまいそうなほど暑い日差しが降り注ぐなか、それぞれが思い思いの1日を過ごしている。
私たちはバスに乗って神奈川県立近代美術館を目指した。
美術館脇の小道から海岸へ降りて砂浜を歩く。
日が傾く海岸沿いを後にして、近くのイタリアンレストランで夕食を。
山の近くと海の近く、住むとしたらどちらを選ぶか?
私たち夫婦の考えは一致している。いつか海の見える街に住みたい。転勤が落ち着いたら、あるいは歳をとって2人きりになってから移り住んでもいい。
夫と未来のイメージを共有する時間が楽しくて、この人と歩む人生はきっと有意義に違いないと思えてくる。
帰りのバスに揺られながら、心がすっかり軽やかになっていることに気づく。それは、迫り来る明日を笑顔で迎えることだってできるほどに。
時々こうやって足を伸ばして、自然に触れながら深呼吸をする。私にとって必要なことなのだと改めてわかった気がした。
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