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【返詩】DOLLの夢

Keiさんの詩がとても素敵だったので
アンサーポエムを作ってみました


あ、また見てる

僕が気がつかないと思っているのかな?

ずっと、じーっと見てる

ふふ、かわいいなぁ

そんなに僕と話したいのなら

なぜ君は僕が話しかけているときに

答えてくれないの?

初めて骨董市で君を見かけたとき

一瞬で運命の出会いだと思った

低体温で

憂に光を奪われた瞳

歴代の持ち主たちに全てに失望したような表情

血の気の引いた青白さ

僕はルンルンだった

やっと「僕と同じ人」を見つけたんだ

一丁前に温もりらしきものを持ったヒトデナシどもは僕を

これからは一緒だ

もう離さない

君にはこれが似合うかな

気に入ってくれるといい

僕の好きなコーヒーなんだ

匂いを嗅いでみるかい?

ちょっと大人過ぎたかな

何も言わない君が愛おしい

ずっと虚ろな君が愛らしい

答えないでそのまま

応えないでいてずっと

僕はそのままの君が好きだ

だけど知ってる

夜に僕を恋しがる君を

僕は知らないふりをする

僕は寝たふりをする

そのいじらしさ

何もできない君

唯一の僕の救い生きるための渇き、飢え、享楽

僕に何がしたい?

君は何もできない

僕と何がしたい?

そう君は何もできない

悲しいのかい

哀しいよね

それでいいんだよ?

僕がいたところに

君にもいてほしいから

僕は目を開けない

もし君と通い合うことがあったならば

君はその欲望を天に返すか

その身に宿してしまうかもしれない

前者なら

僕は君をゴミ箱に

僕を棺桶に葬るだろう

後者なら

君は偏屈で偏執狂な僕に身の毛もよだつほどの嫌悪と吐き気を持って

僕の元から去ってゆくのだろう

だから、このままでいい

君と僕は夜中に一生目を合わせることはないだろう

同じところにいて一度たりとも交わらない

それでいい

それでいい

僕は君のお人形さんなのだから

夢の中でなら

僕の頬をなでる君の指を優しく噛みちぎり

僕に囁く君の頭ごと噛み砕いた

嗚呼、もう

我慢できない

君の隙をついて

目を開ける

数秒感時が止まった

冷たい唇

熱い首筋

遠ざかる天井

嗚呼、地獄のように愛している

八つ裂きのフランス人形

それぞれが四肢に

頭に

杭打たれ

至福な顔をした赤い蝋人形は

検視の結果

頸動脈を食い破られた

失血死だった

彼の食道には

丸められた婚姻届が

差し込まれていた

そこには彼の名と彼の名が書かれていた

彼に身よりはおらず

遺体は誰にも引き取られぬまま

納棺の

三日後に消え去った

蚤の市

不恰好な少年の人形を

未亡人が買ってゆく

あなた、何もできないのね

そう、それで、いいのよ

ずっと、ずっと、そのままで、いなさいね

何も何も、できなくて、いいのよ

微塵の価値もない

木偶の坊さん

愛してるわ


相互フォローの「つむさん」も同じ題材で短編小説を書かれています!
是非、遊びに行ってみてください!

皆で広がる創作の輪が楽しくてワクワクしますね♪
もっとこういう交流を増やしていきたいなぁ😃

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