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【バレンタイン】私の父、最期のチョコレート

父がパーキンソン病の末、
亡くなる数週間前でした

病院で長く寝たきりで、
言葉も出せなくて、
意識ももうろう状態、
食事はチューブで栄養食を
胃に流してる日々。
チョコレートはもちろん禁止。

ある介護士さんが、
午後のおやつにと、
チョコレートをひと欠片、
ふと、父の口に優しく入れたんです。

噛む力は弱っていたが、
父も顔つきがなんだか
少し喜んでるように見えた。

母も私も、主治医の禁止事項は
遵守してしまうタイプだから、
そんなことはできなかったけど、
その介護士さんは、
「まだお父さんも
味や香りは分かるはずから、
味あわせてあげたいと思って」
と言ってくれました。
目から鱗でした。

しばらく、数分したら、
介護士さんは今度は
口の中のチョコレートを
綺麗に拭き取り、戻っていきました。

それが父には最期の
チョコレートになった。

その介護士さんの気持ちが、
今もまだ忘れられません。 
ありがとうございました。

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